インダストリアルインテリアに挑戦!
特徴からコーディネートのコツまでご紹介

  • 住まい
  • インテリア

INDEX目次

SHARE X facebook

Webライター

木内つばめ

主に「旅」と「暮らし」をテーマに執筆。世界中の旅先やホテルで見つけたアイデアを自分の暮らしに落とし込むことを楽しんでいます。最近では、自宅を観葉植物で満たすことにも夢中。みなさんがより豊かで心地よい生活を送れるようなヒントをお届けしたいと思います。

スタイリッシュなカフェやホテルで目に入るインダストリアルインテリア。シンプルでありながらも個性を主張できる人気のスタイルです。男女問わず愛されるコーディネートなので、夫婦やカップルで一緒に楽しみながら空間作りができるのも魅力の1つ。しかし、実際に自宅で取り入れようとすると、素材やカラー、家具をどう選んでいってよいのか迷いますよね。

本記事ではインダストインテリアの特徴や取り入れ方のコツを解説します。

 

01インダストリアルインテリアの特徴

インダストリアルな部屋のアイアンライト

まずはインダストリアルインテリアがどういったものなのかを整理しましょう。テーマをしっかり把握することで、家具や照明などを選ぶ基準を設定することができます。

 

「インダストリアル」とは?ブルックリンインテリアとの違い

インダストリアルとは「工業的・産業的」という意味。よって、インダストリアルインテリアは、工場や倉庫をイメージさせるようなコーディネートのことを指します。飾り立てることよりも作業場のような無骨さ、実用性を邪魔しないシンプルさ、そして使い込んだ質感などを目指して作られるインテリアスタイルです。

類似したスタイルに「ブルックリンインテリア」というものがあります。

こちらはニューヨークの倉庫や古い住宅が並ぶブルックリンの街並みをベースにしたコーディネートです。

インダストリアルインテリアが町工場のような空間をストレートに再現するのに対して、ブルックリンインテリアはカジュアルさ・モダンさを加えて再構築したスタイルになります。

このリミックスの有無が、両者の間にある違いです。

 

基本的に「剥き出し」の空間

インダストリアルインテリアは、躯体や収納を見せることを好みます。

工場や倉庫は無駄のない作業場。内装は配管や配線ダクトが剥き出しになっている「躯体現し」という方法で仕上げられていたり、必要なものをすぐ手に取れるようにオープンな収納を活用したりしています。

インダストリアルインテリアでは、この仕様を可能な限り室内へ反映させていきます。

 

使用される素材とカラー

インダストリアルインテリアで主に使用される素材は、コンクリート、アイアン、タイル、レンガ、レザー。木材も使用されますが、無垢の古材など味のあるものがよく馴染みます。

また色については、ダークカラーを中心に展開していきます。ベースとなるのは、ブラック、グレー、ブラウンなどの渋めの色。ダークカラーを数色使って配色し、部屋全体を落ち着いたトーンにまとめていきます。

この限られた素材や色で絶妙なバランスを見出すところが、おもしろみでもあり、腕の見せ所でもあります。

 

インダストリアルインテリアのメリット

冒頭で「男女問わず愛させる…」と言いましたが、数あるスタイルの中からインダストリアルインテリアを選ぶメリットは他にもあります。

・躯体を剥き出しにしている分、空間が広く見える。

・ダークカラーがベースなので多少の汚れは目立たない。

・使用感、経年劣化を魅力としているので、生活で生まれる傷を気にしない。

・廃材や中古品を積極的に使用するのでサスティナブルな空間作りになる。

・高級ブランドで揃える必要がないため、家具の費用を抑えられる。

どのスタイルで部屋作りをしていくか悩んでいる段階であれば、こういったメリットに注目してみるのもよいでしょう。

 

インダストリアルインテリアのデメリット

インダストリアルインテリアにはやはり弱点もあります。どういったデメリットが考えられるかも踏まえておくことは大切です。

・躯体を出すことで、断熱性・防音性が下がる場合がある。

・ダークカラーや無機質なものを取り入れるため、部屋が暗めになる。

こういったデメリットは、アレンジによって緩和できる部分もあります。

 

 

02 実践!インダストリアルインテリアでコーディネートしてみよう

インダストリアルな部屋のコンクリート壁

さてインダストリアルインテリアの特徴を押さえたところで、いよいよコーディネートの仕方を解説していきましょう。

 

範囲を選んで躯体を見せる

躯体現しは部屋全体のほか、天井のみ、壁の一部分だけなど行う範囲を設定することができます。躯体現しする面積によって空間全体の印象も変わるので、バランスを見極めながら施す範囲を決めましょう。

しかしながら、躯体現しはあらゆる住まいで行える内装仕上げではありません。建物の構造上できない、木造住宅では木の梁などが剥き出しになりイメージから遠ざかってしまう…というケースもあります。また断熱性や防音性を優先させたい方もいらっしゃるでしょう。現実的に無理のない範囲で検討しましょう。

 

床は無垢材のフローリングがおすすめ

常に足に触れている床に相応しいのは、実用性も考慮すると無垢材のフローリングです。快適な肌触りでありながらも、インダストリアルインテリアの長所でもある経年美化を楽しむことができます。色はミディアムブラウンやダークブランといった暗めのトーンがおすすめです。

 

壁はコンクリート、レンガ、タイルが定番

インダストリアルインテリアから連想する壁と言えば、コンクリート打ちっぱなしやレンガの壁です。鉄筋コンクリート造の建物で躯体現しを行った場合には、デフォルトでコンクリート打ちっぱなしの内壁になります。

躯体現しが難しい場合は、グレー系の漆喰を施すなど、類似したテイストの素材や色を代用するという方法もあります。

レンガは工場の雰囲気を出しながらも、空間に表情を付けてくれるような素材。ただ壁全体に施すと少々くどく感じることもあるので、一面だけに施すなどアクセントとしての取り入れる方法がおすすめです。

手軽にリフォームしたいなら、レンガ柄がプリントされた壁紙を使用するということもできますが、安っぽい仕上がりになってしまう場合があるので注意しましょう。

キッチンや洗面所などの水回りには、掃除もしやすいタイルが適任です。

サブウェイタイル(ニューヨークの地下鉄の駅構内で使われていたタイル)であれば、作業場らしい味わいと水回りに求めたくなるような爽快感を共存させることができます。

 

窓にはカーテンではなくブラインドを

インダストリアルインテリアの窓辺に相応しいのは、ブラインド。曲線的なカーテンよりも、直線的なブラインドの方が無骨な空間には断然しっくりきます。
ウッドブラインドなら床材の色と同調させるとまとまりが出ます。

 

金属系の照明を取り付ける

照明はあらゆるインテリアスタイルにとって、チャームポイントになります。

インダストリアルインテリアでは、アイアンやスチールのシェードがついたペンダントライト、船舶ライトなど金属が使用されているデザインがよく似合います。
電球もオレンジ系の光を発光するものにすると、さらに雰囲気が出るでしょう。

ただ、ペンダントライトや船舶ライトだけでは明るさが足りなく感じるのは正直なところ。明るさとインダストリアルらしさの両方を追求する場合によく使用されるのが、ダクトレールです。

天井にダクトレールを這わせ、そこにペンダントライトや数灯のスポットライトを設置することで、より明るい空間に仕上げることができます。

ダクトレールとスポットライトの無骨さはインダストリアルインテリアとの相性も抜群。ダクトレールは長めに、あるいはL字やコの字に這わせることができ、模様替えに合わせてライトの位置を移動できるといった利便性も兼ねています。

 

見せる収納を取り付ける

見せる収納として使用する棚についても、素材やカラーにこだわりたいところ。服をそのまま掛けられる黒のハンギングバー、アイアンフレームに無垢の板を通したオープンシェルフ、スチールラックなど、ラフでシンプルなデザインが理想的です。

また、有孔ボードを壁に設け、小物を掛けて収納するというアイディアも人気です。

見せる収納はディスプレイ効果もあるので、よりインダストリアルさをアピールできる格好のスペースでもあります。

黒やシルバーの家電を並べる、ダークカラーで厚みのある食器を置く、テーマから外れる日用品は木箱や工具用のボックスに入れて隠す…など、独創性を織り交ぜて楽しんでみてください。

 

ヴィンテージなど使用感のある家具を配置

インダストリアルインテリアの空間によく馴染むのが、ヴィンテージ家具。使い込んだ形跡や深みが、作業場のような空間に溶け込みながら家具としての役割を果たしてくれます。

家具に関しては、無骨感ばかりを追求してしまうと生活しにくいということがあるので、ある程度「使い心地」にも目を向けてみましょう。

特にチェアやソファを木製やスチール製にしてしまうと、体に負担がかかるということも。座面や背面にレザーやダークカラーのファブリックが施されたものを選ぶなど、空間に同調する範囲で心地よさを取り入れてみてください。

 

 

03 あれ何か違う?より生活しやすくするためのコツ

インダストリアルな部屋の植物

インダストリアルインテリアを作り上げていく途中で「あれ、ちょっと違うな?」と感じる場合もあります。そんな時は、以下のようなことを見直すことで軌道修正ができます。

 

シンプルを意識する

インダストリアルインテリアに寄せるためのアイテムを揃えることばかりに集中すると、収納や家具が過剰になってしまい、空間が物で埋め尽くされてしまうことがあります。インダストリアルインテリアは雑多な空間ではなく、「無駄のない空間」であるということを再認識してみましょう。作業場のようにスムーズな動線が描けるくらいの余裕を目指して、必要以上に収納や家具を用意しないことを心がけることが大切です。

 

トーンを落としすぎない

壁からインテリアまで徹底的に暗めのカラーを選んでいくと、昼間でも自然光を感じないような空間になってしまうケースがあります。特に狭い部屋や北側の部屋では、トーンを落としすぎて圧迫感が強調されないよう注意が必要です。

部屋が暗すぎる、重すぎると感じた場合は、ダークカラーの範囲内で色調を1段階アップさせてみましょう。

黒をグレーへ、ダークブラウンをブラウンへ変更するといった方法です。もっと室内に明るさが欲しい場合には、思い切って壁の一部にホワイトやアイボリーを採用するということもよく行われます。意外にもインダスストリアルな雰囲気とマッチするので検討する価値はあります。

ただし明るくするためにとビビッドなカラーや柄物を使用してしまうのはNG。印象が強すぎるカラーや柄物を取り入れると、ブルックリンインテリアに近づいてしまいます。

 

観葉植物でほどよく潤いをプラスする

工場や倉庫がテーマではあっても、コーディネートするのはあくまでも住空間です。極端に無骨すぎる、無機質すぎると、日々の生活には欠かせない安らぎや寛ぎが得られません。

インダストリアルインテリアの最後の仕上げに、暮らしが潤うようなエッセンスを加えてみてはいかがでしょう。違和感なく馴染むアイテムが観葉植物です。

 

観葉植物の瑞々しいグリーンは、ソリッドな空間に心地よい息吹をプラスしてくれます。大きめの観葉植物を床に直置きするのはもちろん、オープンシェルフに並べたり、ダクトレールにハンギングスタイルで飾ったりと、空間のちょっとしたスペースを上手に埋めてくれるので、たいへん重宝します。

 

04 まとめ

どのようなテーマで住まいを作り上げていくかを決めるとき、そのスタイルをずっと維持していけるか先を見据えることも大切です。

繊細な家具や明るめのカラーで繕うスタイルは、美しさを保つためのメンテナンスや買い替えにかかるコストも視野に入れなくてはいけません。

しかし、インダストリアルインテリアは家族が残す使用感、中古品であればさらに自分たち以前に使われてきた歴史も大事にしていくスタイルです。

持続性を求める今の時代にはまさにぴったりなテーマですね。ぜひ、インダストリアルインテリアを取り入れ、自分らしい住空間を育んでみてはいかがでしょう?