リフォームで掘りごたつを作る5つの魅力とは?
工法別の費用目安や注意点を解説
- リフォーム
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Webライター
平田 翔
宅地建物取引士
ハウスメーカーで建売住宅販売や土地仕入れ、土地調査などに携わった経験と宅地建物取引士の資格を活かし、不動産ライターとして活動中。「土地売買」「住宅購入」「借地権」「共有持分」などのテーマで多数執筆。現在は、SEOやコラムなど、様々なジャンルで執筆を行う。
「掘りごたつを設置したいけど、リフォーム費用の目安を知りたい」
「掘りごたつを設置する魅力と注意点も把握して検討したい」
掘りごたつのリフォームを検討し、このように悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
掘りごたつは、床下に足を伸ばせる構造になっており、通常のこたつよりも楽な姿勢でくつろげるのが魅力です。また、家族の団らんの場として、あたたかい空間を生み出せます。リフォーム費用は工法によって異なるので、本記事で確認してみてください。
この記事では、掘りごたつリフォームの魅力や具体的な費用、工事方法、注意点など、設置を検討される人に役立つ情報を詳しく解説します。
01 リフォームで掘りごたつを作る5つの魅力
リフォームで掘りごたつを作る魅力は、以下の5つです。
●楽な姿勢で座れる
●家族が集まりやすい空間になる
●和室にも洋室にもマッチする
●収納スペースとしても活用できる
●季節に合わせて片付ける必要がない
それぞれ詳しく解説します。
楽な姿勢で座れる
掘りごたつの特徴は、足を自然な形で下ろせる構造にあります。通常のこたつは、足を伸ばしてくつろぎにくく、長時間座っていると疲れる人も多くいます。
しかし、掘りごたつなら床下に足を入れられるため、椅子に座るような感覚で快適に過ごすことが可能です。特に高齢の方や、足腰に不安がある方にとっては、通常のこたつよりも掘りごたつの構造が快適に過ごせるでしょう。
家族が集まりやすい空間になる
家族全員がくつろぎながら会話を楽しめて、居心地の良い空間を作り出せるのも、掘りごたつの魅力の一つです。一般的なこたつでは快適に過ごせない方や、エアコンの風が苦手な方でも、足元からじんわりと温まる掘りごたつなら心地よく過ごせるでしょう。
また、通常のダイニングテーブルとは違い、座る人数に柔軟に対応できるため、急な来客があっても安心です。さらに、懐かしさのある掘りごたつで話すことで、自然と和やかな雰囲気が生まれ、より打ち解けた会話が弾むことも期待できます。
和室にも洋室にもマッチする
掘りごたつは和室向けの家具だと思われがちですが、実は洋室にも自然に溶け込めます。モダンなデザインの掘りごたつを選べば、スタイリッシュなインテリアとも見事に調和します。
例えば、ダークブラウンの木材を使った洗練されたデザインなら、洋室の床材やカーテンとも美しくマッチし、落ち着きのある空間を演出できるでしょう。さらに、カラー畳やさまざまなインテリアと組み合わせて、和モダンテイストな空間を作ることも可能です。
インテリアや空間作りにこだわりがある人でも、掘りごたつは比較的合わせやすいのでおすすめです。
収納スペースとしても活用できる
掘りごたつは、便利な収納場所としても活用できます。特に、こたつを使わない季節には、こたつ布団や天板をすっきりと片付けておけるため、スペースを有効活用でき家のなかをスッキリさせられます。
普段使う座布団やクッションも、使わないときはここに収納できるので便利です。このように床下収納として活用することで、限られた空間を効率よく使えるうえ、お部屋の片付けもはかどるでしょう。
季節に合わせて片付ける必要がない
通常のこたつは、暖房器具として機能性が強いため、冬季以外は使用機会が限られます。そのため、夏前になると片付けなければならず、収納場所の確保も悩みの種となります。
一方、掘りごたつは夏場でもテーブルとして活用可能です。これにより、季節ごとの片付けや模様替えの手間を省くことができ、年間を通じて快適に使用できる空間として機能します。また、こたつとして使用しない期間も、団らんの場としての価値は変わらず維持できます。
02 【工法別】掘りごたつリフォームの費用目安と概要
掘りごたつのリフォームには、住まいの条件や予算に応じて選べる複数の工法があります。主に以下3つの工法があり、工事期間や費用がそれぞれ異なります。3つの工法を詳しく解説するので、ぜひ確認してみてください。
リフォームの種類 | 費用目安 | 工期目安 | 向いている建物 |
床を掘り下げる工法 | 30万円〜 | 5日〜 | ・一戸建ての1階 |
小上がりを造作する工法 | 20万円〜 | 5日〜 | ・一戸建ての2階以上
・マンション |
掘りごたつユニットを設置する工法 | 15万円〜 | 1日〜 | ・一戸建ての2階以上
・マンション ・賃貸物件 |
床下掘り下げ工法
床下掘り下げ工法は、掘りごたつリフォームのなかでもっとも本格的な工法です。
設置したい場所の床下を掘り、空間を作り出す工事で、費用の目安は30万円からです。施工では、まずこたつを設置する部分の床に開口部を作り、その下の空間を掘り下げていきます。フローリングの場合は、フローリング自体と床板、床を支える木材である根太を切り取るのが一般的です。畳部屋の場合は、畳を1畳分剥がして、床板と根太を切ります。
ただし、単に床に穴を開けるだけでは建物の構造に影響が出る可能性があるため、鋼製束(こうせいづか)と呼ばれる支柱を入れて補強します。ヒーターユニットを組み込んで、剥き出しの底面と側面を造作して完成です。
工事期間は通常5日ほどですが、床下の状況や工事の内容によっては、さらに時間がかかることもあります。初期費用は高めですが、耐久性に優れているため、長く使い続けることを考えている方には特におすすめの工法といえます。
小上がり造作工法
小上がり造作工法は、床を掘り下げるのではなく、周囲の床を高くすることで掘りごたつのような空間を作り出します。費用は20万円程度からと、床下を掘り下げる方法に比べて経済的です。
こたつを置く部分の周りに小上がりを設けることで、掘りごたつ同様の快適のある空間を作れます。この方式の大きなメリットは、既存の床を大きく改修する必要がないため、マンションの高層階や賃貸住宅でも比較的取り入れやすいことです。
工事期間は通常5日ほどで、床下を掘り下げる方法とほぼ同じです。また、小上がりならではの段差を活かすことで、デザイン性の高い空間づくりができます。
ただし、室内に段差が生じるため、小さな子どもやご高齢の方がいるご家庭では、安全面への配慮が欠かせません。
掘りごたつユニットの設置
掘りごたつユニットは、既製品を利用して掘りごたつを作る方法で、3つの工法のなかで最も簡単です。
費用は15万円程度からと、ほかの工法に比べて手頃な価格で設置できます。オンラインショップや実店舗で販売されているユニットを購入し、購入者自身が組み立てます。多くの場合、ユニットは床部分のみの販売となっており、こたつ本体は別途購入が必要ですが、お好みのデザインや機能を持つこたつを自由に選べるのがメリットです。
工事期間は、自分で設置する場合は最短1日程度で完了します。商品の種類が豊富で、和風から洋風まで、お部屋の雰囲気に合わせて選べます。ただし、商品によって価格差が大きく、高級タイプになると60万円前後するものもあるので注意が必要です。設置後の移動や取り外しも比較的簡単にできるため、将来的に部屋の模様替えを考えている方にも向いています。
03 既存の掘りごたつの修理が必要なケースと費用目安
既存の掘りごたつを修理する場合には、現状によって費用が異なります。また、掘りごたつを撤去して通常の床に戻す場合の費用も合わせて解説します。
修理が必要なケースと費用目安
掘りごたつの修理が必要なケースと費用目安は、以下の通りです。
●ヒーターが壊れた場合:ヒーターの交換で3万円〜
●湿気や通気の問題によるカビ防止:床下の防カビ工事で3万円〜
●床材劣化による張り替え:3万円〜
●周辺の畳の張り替え:1畳あたり7000円〜
掘りごたつの修理で多く見られるのは、ヒーターの不具合です。長年使用しているとヒーターの暖まりが悪くなったり、作動しなくなったりします。ヒーターの交換費用でおよそ3万円からです。
また、床下の空間は湿気がたまりやすく、カビが発生することも少なくありません。カビ対策として床下に防カビ処理を施す場合は、3万円程度の費用を見込む必要があります。
床材の傷みによる張り替えも、よくある修理の一つです。長年の使用で床材に傷がついたり、色あせたりした場合は張り替えが必要になります。費用は3万円程度からですが、張り替える範囲や床材の種類によって変わってきます。
和室に設置された掘りごたつの場合は、周りの畳の張り替えも検討が必要です。畳の張り替えは1畳あたり7000円程度からとなっています。
掘りごたつを撤去するのにかかる費用
掘りごたつを撤去する場合は、掘りごたつの規模やエリアによって異なりますが、
5万円以上の費用を見込んでおく必要があります。
撤去には、以下のような作業工程が必要であり、本格的な工事になるため費用も高額になりやすいです。
●解体作業
●床下の補修や補強
●電気配線の修理
●床の穴埋め
●掘りごたつ本体の処分 など
また、フローリングの床に設置されていた場合は、撤去後の床の色合わせが難しい課題となります。長年の使用により、既存のフローリングと新しい床材では色が異なってしまうことが多く、同じ種類や色の床材を選んでも完全に色を合わせるのは困難です。
見た目をきれいに仕上げるには、周辺の床材も含めて全体的に張り替える必要があり、その場合はさらに費用がかさみます。撤去を考える際は、こうした費用や手間についてしっかりと検討しておくことをおすすめします。
04 リフォームで掘りごたつを設置する際の4つの注意点
リフォームで掘りごたつを設置する際の注意点は、以下の4つです。
●掃除が難しい
●こたつの設置場所を変えられない
●段差が生まれる
●定期的に換気する必要がある
それぞれ詳しく解説します。
掃除が難しい
掘りごたつの下のスペースは、意外と掃除が手間のかかる場所です。手が届きにくい狭い空間のため、ほこりや食べこぼしが溜まりやすくなっています。特にこたつの脚の周りや床との隙間は掃除がしにくく、普段目に見えない場所ですのでゴミが溜まりやすいです。
お手入れを楽にするコツとして、細長いノズルの付いた掃除機を用意しておくことをおすすめします。また、食べこぼしの汚れ対策として、洗える敷物を床に敷いておくと、普段のお手入れが随分と楽になります。大掃除をする際は、こたつ布団やテーブルを全て取り外して、床下のスペースまでしっかりと掃除するようにしましょう。
こたつの設置場所を変えられない
掘りごたつは、一度設置すると場所の変更が困難です。特に床下掘り下げ工法や小上がり造作の場合は、将来的な生活スタイルの変更や、家族構成の変化に応じた部屋のレイアウト変更が難しくなります。
レイアウトの自由度を確保したい場合は、ユニット式の掘りごたつを選択するのがおすすめです。ユニット式であれば、比較的容易に移動や撤去ができ、将来的な生活の変化にも対応しやすくなります。設置場所を決める際は、家族全員の動線や、将来的な生活スタイルの変化も考慮に入れて慎重に検討しましょう。
段差が生まれる
掘りごたつを設置すると、必ず室内に段差ができてしまいます。床下を掘り下げる場合は掘り込んだ部分に、小上がりにする場合は周りの床との間に段差が生じます。この段差は、特にご高齢の方や小さな子どもにとって、つまずきや転倒の危険性が生まれるのです。
安全に使うためには、段差のある部分に手すりを付けたり、段差が見やすいように明るい照明を設置したりするなどの工夫が必要です。また、小さな子どもがいる家庭では、掘りごたつの周りに安全柵を設けて、子どもが一人で近づけない対策を取り入れましょう。夜間にトイレに行くときなど、暗い中での移動には十分な注意が必要です。
定期的に換気する必要がある
掘りごたつは構造上、内部に湿気がたまりやすい特徴があります。特に床下のスペースは空気が流れにくく、カビが生えたり嫌な臭いの原因になったりします。そのため、こまめな換気が欠かせません。
定期的にこたつ布団をめくって空気を入れ替え、床下にこもった湿気を逃がすようにしましょう。
湿気対策には、除湿剤を使うのも効果的です。特に梅雨時や夏場は、床下に除湿剤を置いておくことをおすすめします。また、晴れた日にはこまめにこたつ布団を干すことで、カビの発生を防ぎ、清潔な状態を保てます。
05 掘りごたつリフォームでよくある質問
掘りごたつリフォームでよくある質問は、以下の通りです。
●マンションでも掘りごたつのリフォームはできるの?
●掘りごたつを作るデメリットはあるの?
●フローリングの部屋にも設置できるの?
●掘りごたつと床暖房を一緒に設置することはできるの?
それぞれ詳しく解説します。
Q.マンションでも掘りごたつのリフォームはできるの?
マンションでも掘りごたつを設置することは可能です。
ただし、工事の方法には制限があります。床下を掘り下げることは建物の構造上、通常はできないため、代わりに小上がりを作って設置するのが一般的です。既存の床に大きな負担がかからない方法を選ぶことで、安心して設置できます。
なお、ユニット式の掘りごたつなら、賃貸住宅でも取り付けることが可能です。ただし、必ず事前に管理組合や大家さんに相談して承諾を得ることと、床の強度確認を忘れずに行う必要があります。
Q.掘りごたつを作るデメリットはあるの?
掘りごたつには、以下のようなデメリットがあります。
●掃除が難しく手間がかかる
●設置場所の変更が難しい
●段差による安全面の懸念がある
●建物によっては、床下の補強工事が必要になる可能性もある
床下のスペースの掃除は予想以上に大変で、定期的なお手入れが欠かせません。また、一度設置すると移動が難しいため、お部屋の模様替えがしづらくなります。
段差があることによる安全面での心配も気になる点の一つです。特に小さな子どもやご高齢の方がいるご家庭では、つまずき防止の工夫が必要になります。さらに、建物の状態によっては床下の補強工事が必要になることもあり、思った以上に費用がかさむ可能性もあります。
Q.フローリングの部屋にも設置できるの?
フローリングの部屋でも掘りごたつを設置できます。
一般的な方法は、床の一部を高くして小上がりにする方法と、既製品のユニット式掘りごたつを使う方法です。また、フローリングの一部を外して、掘りごたつ用のスペースを作ることも技術的には可能です。
ただし、フローリングに設置する場合は、床下の構造や強度をしっかりと確認する必要があります。床下には電気配線や水道管が通っていることも多いため、工事前の調査が欠かせません。
Q.掘りごたつと床暖房を一緒に設置することはできるの?
掘りごたつと床暖房は一緒に設置できます。
掘りごたつの周りに床暖房を取り付けることで、寒い時期でも快適に過ごせる空間が作れます。特に、こたつを使わない家族もくつろげるよう、リビング全体を暖かく保ちたい場合におすすめの組み合わせです。
ただし、両方を設置する場合は、設置費用が通常より高くなり、電気代も余分にかかるため、費用面を考慮する必要があります。また、床暖房の熱を発する部分や配管の位置決めには細かい配慮が必要ですので、工事業者としっかりと相談しながら進めることが大切です。
06 まとめ
掘りごたつのリフォームは、快適な住空間を作り出す選択肢の一つです。通常のこたつとは違い、足を伸ばしてくつろげたり、季節を問わず活用できたりして、魅力的なスペースになります。ただし、設置にあたっては工法によって予算や設置できる建物が異なるため、それぞれの特徴を理解して十分な検討が必要です。
将来的な生活スタイルの変化も見据えながら、家族全員が快適に過ごせる空間づくりを目指しましょう。掘りごたつは、適切な計画と管理があれば、長年にわたって家族の憩いの場として活用できる素晴らしい設備となるはずです。