【目的別】防音リフォームの種類と費用目安とは?補助金や依頼する際の流れも解説

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Webライター

平田 翔

宅地建物取引士

ハウスメーカーで建売住宅販売や土地仕入れ、土地調査などに携わった経験と宅地建物取引士の資格を活かし、不動産ライターとして活動中。「土地売買」「住宅購入」「借地権」「共有持分」などのテーマで多数執筆。現在は、SEOやコラムなど、様々なジャンルで執筆を行う。

防音対策するためのリフォームは、目的によって、リフォーム箇所が異なります。例えば外からの騒音を防ぎたい場合には、窓や壁、換気口などのリフォームが必要です。また、高額になりやすいリフォーム工事ですので、使える補助金・助成金がないか調べておくことも大切です。

この記事では、騒音リフォームを検討している方に向けて、目的別のリフォームの種類や費用目安、活用できる補助金、リフォーム時の注意点などを解説します。

 

01 【目的別】防音リフォームの種類

防音リフォームは、お住まいの環境や目的によって最適な工事方法が異なります。快適な住環境を実現するためには、まず自分に必要な防音対策を理解することが重要です。防音リフォームの種類は、具体的に以下の目的が挙げられます。

● 室内の生活音対策
● 外部騒音の遮断
● 楽器演奏・音楽鑑賞のための防音

それぞれ詳しく解説します。

 

室内の生活音を対策したい

マンションやアパートのような集合住宅だけでなく、密集した戸建てでの生活においても、周辺への音漏れに悩む人は少なくありません。例えば、床の衝撃音や話し声、設備・機器の使用音などが挙げられます。特に、小さな子どものいる家庭では、走り回る音や飛び跳ねる音が気になる人も多いでしょう。

具体的な対策として、床材やドア、天井の防音性能を高めることで、生活音の伝わりを大幅に軽減することが可能です。

例えば、床材を衝撃吸収性の高い防音フローリングに交換したり、天井に吸音材を設置したりする方法があります。また、開き戸から引き戸への変更や防音効果の高いドアへの取り替えで、部屋間の音の伝わりも抑えられます。

 

外部の騒音を遮断したい

幹線道路沿いや繁華街近くに住んでいる場合は、交通騒音や近隣騒音に悩まされる人も多くいます。交通騒音や近隣の生活音を遮断するには、建物の開口部における防音対策が効果的です。

具体的には、窓ガラスを防音性能の高いペアガラスに交換したり、遮音シートを貼ったりするのがおすすめです。また、外壁への遮音シートの施工や、換気口に消音対策を施すのも効果的でしょう。玄関ドアは、気密性の高い防音ドアに交換することで、より静かな室内環境を実現できます。

 

楽器の演奏や音楽鑑賞における防音対策をしたい

楽器演奏や音楽鑑賞を楽しみたい人は、防音対策として防音室の設置がおすすめです。

防音室の設置方法には、既存の部屋を改修して防音性能を高める方法と、組み立て式の防音ブースを設置する方法があります。本格的な防音対策を行う場合は、壁・床・天井すべてに防音材を施工し、さらに空気層を設けることで高い遮音性能を実現します。ただし、工事は専門的な技術と十分な予算が必要となりますので、事前に詳細な相談と計画が重要です。

 

 

02 リフォーム工事箇所別の費用目安

リフォームのスケジュール表

防音リフォームの費用は、工事の範囲や使用する材料によって大きく異なります。一般的な工事箇所別の費用目安として、以下の4つの工事を紹介します。

● 窓の防音工事
● 壁の防音工事
● 床の防音工事
● 防音室の設置工事

それぞれ詳しく解説するので、予算に応じて最適な防音対策を選択してみましょう。

 

窓の防音工事

窓は外部騒音が侵入しやすい箇所であり、騒音の内容や予算に合わせて十分な対策を施すことが重要です。
一般的な窓ガラスを防音性能の高い製品に交換することで、大きな効果が期待できます。具体的な工事と予算目安は、以下の通りです。

工事の内容 予算目安
防音ガラスの設置 5〜13万円
内窓・二重窓の設置 7~15万円
遮音カーテンの設置 1~1.5万円

 

窓ガラス自体を交換する場合は、防音ガラスまたは内窓・二重窓の設置があり、より高い防音効果を求める場合は、内窓や二重窓を設置しましょう。

また、比較的手軽な対策として、遮音カーテンを取り入れる方法もあります。

 

壁の防音工事

壁の防音工事は、室内の音環境を改善する上で重要な要素です。外からの音を防ぐだけではなく、自室の音漏れを防ぎたい場合にも効果的と言えます。具体的な工事と予算目安は、以下の通りです。

工事の内容 予算目安
換気口の防音対策 2~5万円
壁内に吸音材と遮音シートを入れる工事 18〜25万円

 

比較的簡単なのが、換気口からの音漏れ対策です。より本格的な対策として、壁内に吸音材と遮音シートを入れる工事があります。

施工面積や使用する材料の品質によって費用は変動しますが、長期的な住環境の改善を考えると、壁内に吸音材と遮音シートを入れるのがおすすめです。

 

床の防音工事

床の防音対策は、特にマンションに住んでいる方で小さな子どもがいる家庭にとって重要です。具体的な工事と予算目安は、以下の通りです。

工事の内容 予算目安
床材の下に遮音マット設置 25〜30万円
防音機能のある床材への変更 30〜60万円
吸音性のある素材の設置 35〜80万円
防音カーペットを敷く 1〜5万円

 

工事のなかでも比較的安くできるのが、床材の下に遮音マットを設置する工事です。

また高額にはなるものの、より防音機能を高める場合には、防音機能を有した床材や吸音性のある素材を設置しましょう。工事不要で比較的安価な対策として、防音カーペットの設置もあります。

 

防音室の設置工事

音楽演奏や音楽鑑賞を楽しみたい方は、本格的な防音対策として防音室の設置がおすすめです。具体的な工事と予算目安は、以下の通りです。

工事の内容 予算目安
組み立て式ボックスの設置 50~300万円
一室をまるごと防音室にする場合 160~700万円

 

比較的安価でできるのは、組み立て式の防音ボックスです。一方、既存の部屋をまるごと防音室に改修する場合は、部屋の広さや求める防音性能によって費用が大きく変動します。

 

 

03 防音リフォームに活用できる補助金一例

補助金と書かれたブロックに指を差す

防音リフォームには、さまざまな公的支援制度が用意されています。本章では、以下の助成や補助を具体的に解説します。

● 国土交通省の助成制度
● 地方自治体の助成制度
● 防衛省の助成制度
● 空港周辺整備機構の助成
● そのほかの優遇制度

これらの助成や補助を適切に活用することで、工事費用の負担を軽減できますので、ぜひ確認してみてください。

 

国土交通省の助成制度

国土交通省では、住環境の改善を支援するための以下のような助成・補助を用意しています。

助成制度 内容
子育てエコホーム支援事業

・子育て世帯を対象とした改修工事における「生活騒音への配慮」に該当する工事で助成を受けられる

・対象となる窓やガラスの基準が決まっている

先進的窓リノべ

・先進的窓リノベ事業では、断熱窓への改修工事を対象としており、ガラス交換・内窓交換・外窓交換に対して補助が降りる

・窓交換により断熱性能を向上させることで、遮音性能の向上も期待できる

長期優良住宅化リフォーム推進事業

・子育て世帯向け改修工事における「生活騒音への配慮」に該当

・外壁開口部の遮音性を向上させるための内窓設置、サッシ交換(JISに基づく遮音性能1以上)の工事に対して補助が適用される

 

助成金額は各制度によって異なりますが、工事費用の一定割合または定額での補助が一般的です。
詳しくは、各制度の詳細ページをご確認ください。

 

地方自治体の助成

各地方自治体でも独自の助成制度を設けているケースがあります。一例として以下3つの自治体を紹介します。

助成制度 内容
東京都建設局「防音工事助成」
・特定地域において、自動車がもたらす騒音障害の防止と沿道の適  切かつ合理的な土地利用を図る目的で実施される助成

・道路交通騒音の大きさが夜間65デシベル以上、または昼間70デシベル以上という条件がある

千葉県成田市「民家防音工事補助制度」 ・空港周辺地域を対象とした民家防音工事補助制度

・航空機騒音対策として住宅の防音工事を支援する

埼玉県桶川市「桶川市住宅リフォーム資金補助金」 ・補助の対象となるリフォーム工事は、屋根の改修、外壁の改修(塗装を含む)、床の改修、内壁・天井の改修、間取りの変更、断熱など

 

助成金額は自治体によって異なりますが、工事費用の一部または全額が補助される場合があります。
自治体によって制度の内容は異なるため、詳細は各自治体へ問い合わせてみましょう。

 

防衛省の助成

防衛省では、自衛隊や米軍の防衛施設周辺を対象とした住宅防音工事の助成制度を実施しています。対象者は指定された区域内に居住する住民で、対象工事には防音サッシの設置、壁の防音工事、空調設備の設置などが含まれます。

具体的な補助率や対象範囲は、地域や建物の状況によって異なりますが、多くの場合、工事費用の大部分が補助されます。ただし、補助を受けるには規定の条件をクリアしておく必要があるため、詳細は防衛省への確認が必要です。

参考 防衛省・自衛隊|補助金・交付金

 

空港周辺整備機構の助成

独立行政法人空港周辺整備機構では、航空機騒音対策として、空港周辺地域における住宅の防音工事に対する助成を行っています。

対象となる地域は主要な空港周辺の指定区域内で、対象工事には防音天井への改造や壁や遮音壁への改造、アルミ機密建具の取付などが含まれます。補助率は工事内容によって異なるので、詳細は空港周辺整備機構に確認してみてください。

参考 独立行政法人空港周辺整備機構|住宅防音工事について

 

そのほかの優遇制度

防音対策のリフォームを実施する以外にも、リフォームによって受けられる減税制度があります。

例えば、床や屋根、壁などの建物の主要構造部を大規模修繕して、10年以上のローンを組むことで「住宅ローン減税」の適用を受けられます。また、ローンの利用有無にかかわらず、バリアフリーや省エネ、子育て対応のリフォーム工事を行うことで「リフォーム促進税制」が利用可能です。

これらの制度は毎年内容が更新される場合がありますので、最新の情報を確認することが重要です。

参考 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会|リフォームのお得な制度

 

 

04 防音リフォーム工事を依頼する際の流れ

防音リフォームを成功させるためには、計画的な準備と適切な業者選びが重要です。以下の手順に従って、効果的な防音対策を実現しましょう。

1. リフォームを行いたい理由や解決したい悩みを整理する
2. 複数業者に見積もり依頼を行う
3. 見積もりやサービス内容を比較検討し1社選ぶ

それぞれ詳しく解説します。

 

STEP1:リフォームを行いたい理由や解決したい悩みを整理する

防音リフォームを検討する際は、まずは具体的な目的や解決したい課題を明確にすることが重要です。例えば「子どもが練習するピアノの音が気になる」「道路からの騒音で眠れない」など、具体的な悩みを整理してみましょう。防音リフォームを行いたい理由や解決したい悩みがはっきりしていると、「想像と違う」といったリフォーム後の失敗を防ぐことが可能です。

また、工事可能な予算範囲も事前に決めておくとよいでしょう。このような準備により、業者との打ち合わせがスムーズになり、期待通りの結果を得やすくなります。

 

STEP2:複数業者に見積もり依頼を行う

防音リフォームは専門性の高い工事であり、業者によって提案内容や工事方法が異なることもあります。そのため、複数の工事業者から見積もりをもらうのがおすすめです。

見積もり依頼の際は、事前に整理した悩みや要望を具体的に伝え、それぞれの業者がどのような解決策を提案するかじっくりと話を聞きましょう。また、過去の施工事例や、実際の防音効果の測定データなども確認するのがおすすめです。

 

STEP3:見積もりやサービス内容を比較検討し1社選ぶ

各業者からの見積もりが揃ったら、金額だけでなく、提案内容や工事方法、アフターフォローの内容なども含めて総合的に比較検討します。特に重要なのは、提案された工事内容が自分の課題解決に適しているかどうかの判断です。単に価格が安いからという理由だけで業者を選ぶのは避けましょう。

工事後の保証内容や、緊急時の対応体制なども確認し、安心して任せられる業者を選択することが重要です。

 

05 防音のリフォームをする際の注意点

防音リフォームを実施する際は、建物の形態や管理規約などによる制約にも注意が必要です。本章では、以下の2点について解説します。

● 賃貸物件のリフォームを行うには貸主の許可が必要
● マンションの場合は専有部分のみリフォーム可能

それぞれ詳しく解説するので、ぜひ読み進めてみてください。

 

賃貸物件のリフォームを行うには貸主の許可が必要

賃貸物件での防音リフォームは、必ず事前に貸主の許可を得る必要があります。特に、壁や床、天井に工事を加える場合は、建物の構造に影響を与える可能性があるため、詳細な工事内容を説明し、書面での承諾を得ることが重要です。

また、退去時の原状回復についても、あらかじめ取り決めを行っておくことで、将来のトラブルを防げます。窓に消音シートを貼り付けるような比較的簡易な対策であっても、貸主に相談するようにしましょう。

 

マンションの場合は専有部分のみリフォーム可能

マンションでの防音リフォームは、専有部分に限って実施できます。共用部分(エントランス・廊下・エレベーターなど)の工事は、管理組合の承認が必要となり、個人での実施は原則できません。

また、床材の変更など、建物の構造に関わる工事を行う場合は、管理規約で定められた制限や手続きに従う必要があります。事前にマンションの管理規約を確認し、必要に応じて管理組合や管理会社に相談しましょう。

 

 

06 まとめ

防音リフォームは、快適な住環境を実現するための重要な投資と言えます。防音リフォームは決して安価な工事ではありませんが、補助金や税制優遇制度を活用することで、費用負担を軽減することが可能です。
また、工事の規模や内容を適切に選択することで、予算に応じた効果的な防音対策ができるでしょう。

まずは専門家に相談し、自身の状況に合った最適な防音対策を見つけるのがおすすめです。毎日の生活がより快適になることで、家族の幸せな暮らしにつながることでしょう。
この記事が、防音リフォームを検討されている皆様の参考になれば幸いです。