いよいよ当たり前になる?!
今こそ知りたい「ZEH住宅」のメリット・デメリット

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家づくりや家探しでよく目にするのが「ZEH(ゼッチ)」というキーワード。もはや先進のエコ住宅というイメージではなく、国では“住宅のスタンダード”として強力に推進しています。「2030年には新築について、ZEH水準の省エネ性能の確保を目指す」と掲げていることもあり、ZEHがいよいよ身近になってきました。そこで今回は、ZEHのメリットや補助金制度など、改めて気になるポイントを解説します。

 

01 「ZEH」に必要なのは、「断熱+省エネ+創エネ」

HEMSの説明イメージイラスト

「ZEH(ゼッチ)」は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略。簡単に言うと、太陽光発電システムなどによって「創るエネルギー」から照明や冷暖房で「使うエネルギー」を引いた、『エネルギー収支がゼロ以下』になる住宅のことを言います。

ZEHとして認められるための条件は、下記の3つです。

ステップ1 断熱

建物自体を高断熱にして、夏の暑さや冬の寒さを防ぎます。ZEH水準として決められた高い断熱性能が必要です。

ステップ2 省エネ

家庭内のエネルギーを見える化するシステム「HEMS(ヘムス)」の導入と、省エネ性能の高い「照明・空調・換気・給湯」を取り入れて、エネルギー消費量を減らす必要があります。

ステップ3 創エネ

家の消費エネルギー量を上回るような創エネを導入します。太陽光発電システムが代表的です。

誤解しがちな点として、ZEHのゼロは「光熱費がゼロ」という意味ではありません。冷蔵庫やテレビなど家電類のエネルギー消費量は対象外であることや、太陽光発電の発電状況によっても光熱費の収支は変わってくることを知っておきましょう。

 

02 「ZEH」のメリット。私たちの暮らしはどう変わる?

ZEHにすると、私たちの暮らしにどんなメリットがあるのでしょうか?

メリット1 光熱費が抑えられて快適

給湯や空調などのエネルギーを効率よく削減できて光熱費が抑えられます。高断熱なので、夏涼しく冬は暖か。ヒートショックを防ぎやすいなど、健康的な暮らしにもつながります。

メリット2 補助金や減税などサポート充実

経済産業省・国土交通省・環境省という3省が連携して住宅の省エネ化を進めているため、支援が充実。利用しない手はありません。

メリット3 資産価値を維持しやすい

第三者評価「BELS」を取得すると、住宅の購入・賃貸時の目安となる「省エネ性能ラベル」にもZEHであると明記することができます。住まい品質を評価する基準になるので、売却する時に優位になる可能性があるでしょう。

メリット4 停電時の非常電源に

太陽光発電は停電時に自家発電中の電気が使えるので、災害の備えとしても有効です。ZEHに必須ではありませんが、「蓄電池」を備えると夜間や雨天にも電気をまかなえます。

 

03 「ZEH」のデメリット。普及率3割は多い?少ない?

戸建住宅の2022年度のZEH普及率を見ると、注文戸建は33.5%と年々増えていますが、建売戸建は4.6%にとどまっています。普及が急速に進まない理由とは何でしょうか?

※出典:経済産業省「ZEH実証事業・調査発表会2023」P15

デメリット1 コストがかかる

ZEHは、建築コストやメンテナンス費用がかかります。高断熱や省エネ設備機器の導入、そして高額なのが、「太陽光発電のシステム費用」。資源エネルギー庁の2023年の資料によると、新築住宅に5kW搭載するシステム費用は、計算上では145万円前後と考えることができます。

※出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」2023年12月

デメリット2 デザインに制限がある

太陽光パネルの発電効率を高めるために、屋根のデザインが自由に選べない、高断熱に対応した窓になるなど、デザインが一部制限されることがあります。

 

04 「ZEH」を後押しする「補助金」がそろっている!

ZEHのデメリットであるコストをサポートする「補助金」があります。国の補助金は併用できませんので、よりメリットのある補助金を選んで活用したいですね。主なものを紹介します。(2024年4月現在の内容です)

子育てエコホーム事業(国土交通省)

・対象 子育て世帯か若者夫婦世帯で、エコホーム支援事業者と契約して住宅を新築する方

補助金額  ZEH水準住宅 1住戸につき80万円(一部、土地条件によって40万円)

子育て世帯か若者夫婦世帯とは、「2005年4月2日以降に出生した子どもがいる」または「申請時に夫婦で、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた」を満たしている世帯です。ほかにも、面積や期間などの要件がありますので、国土交通省のホームページで詳細を確認しましょう。

※出典:国土交通省「子育てエコホーム支援事業」

2024年のZEH補助金(経済産業省・環境省)

・対象 新築の戸建て住宅を建築・購入する方で、ZEHビルダー/プランナーとして登録した事業者が建築や設計、販売する住宅であること

・補助金額  ZEH  1住戸につき55万円+α
         ZEH+ 1住戸につき100万円+α

「ZEH(Nearly ZEH、ZEH Oriented含む)」と「ZEH+(Nearly ZEH+含む)」が対象です。ZEHにはいくつかの種類があり、太陽光発電に不利な立地に配慮して太陽光発電の要件を緩和したNearly ZEH、ZEH Orientedも補助金の対象になります。また、ZEH+はより厳しい省エネ基準を満たしたもの。いずれも、蓄電システムなどの対象設備を追加すると、加算が受けられます。詳しい要件や期間などは確認を。

※出典:「2024年経済産業省と環境省のZEH補助金について」 

注意したいのは、補助金を申請した後は、間取りや機器の変更ができないという点です。申請期限があるので焦ってしまいがちですが、納得できるまで検討するようにしましょう。

 

05 補助金を活用するなら、スケジュールも含めて早めに検討しよう

いかがでしたか?ZEHは約10年前から注目され始めたキーワード。今は国が急加速で推進していることから、2024年の時点で住宅ローン控除やフラット35の金利でもZEHにすると有利になっています。支援制度は毎年変わり、補助金はその年ごとの予算上限に達すると終了になります。ZEHの補助金を検討するなら、まずは制度を活用できる建築会社を選ぶことから始めましょう。そしてスケジュールや要件をしっかり相談してください。