外壁塗装の費用を確定申告で還付請求するために
条件・控除金額・申請の流れなど徹底解説

INDEX目次

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住宅リフォームライター

大西

住宅リフォームライターとして、助成金・補助金・制度に関する記事を専門に執筆しています。複雑な内容をわかりやすく整理し、読者にとって役立つ情報をお届けすることを心掛けています。

01 外壁塗装の費用は確定申告できる?

外壁塗装のリフォーム工事のみだけでは、確定申告で控除を受けることが難しくなっています。
理由としては、外壁塗装の工事単独で税制上の優遇措置の対象となることが少ないためとされています。

ただし、特定の条件を満たせば、次の二つの控除制度が適用される可能性があります。

  • 住宅ローン控除
  • 住宅特定改修特別税額控除

簡単に説明しますと、外壁塗装が住宅の購入や改築の一部として行われる「住宅ローン控除」の対象になります。
また、断熱性を向上させるなど、省エネルギー効果を高めるものである場合「住宅特定改修特別税額控除」の対象になります。

02 外壁塗装でかかった費用を確定申告できる条件とは?

家の模型を虫眼鏡で確認しているイメージ

では「住宅ローン控除」「住宅特定改修特別税額控除」の制度を活用するにはどのような条件があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

住宅ローン控除の主な条件

  • 住宅の床面積
    登記上の床面積が50平方メートル以上であること。
  • 所得要件
    前年の合計所得が3,000万円以下であること。
  • 居住要件
    住宅の引き渡し後6カ月以内に居住を開始し、その年の12月31日時点で引き続き住んでいること。
  • ローンの要件
    金融機関などからの借入金で、償還期間が10年以上のもの。(10年以上にわたる分割返済の方法をとっているか)
  • 申告要件
    初年度に確定申告を行うこと。

住宅特定改修特別税額控除の主な条件

  • 工事内容
    外壁塗装が省エネ効果を高めるものであること。
  • 工事費用
    工事費用が100万円以上であること。
  • 床面積
    工事後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上を居住用に供していること。
  • 所得要件
    前年の合計所得が3,000万円以下であること。
  • 居住要件
    住宅の引き渡し後6カ月以内に居住を開始し、その年の12月31日時点で引き続き住んでいること。
  • ローンの要件
    金融機関などからの借入金で、償還期間が10年以上のもの。(10年以上にわたる分割返済の方法をとっているか)

より具体的な手続きや詳細については、税理士や公的機関にご確認いただくことをお勧めいたします。

03 確定申告で控除される金額

実際に外壁塗装の費用が確定申告可能な条件を満たしていた場合、控除される金額はどれくらいになるのでしょうか。

それは、控除される金額は適用される控除制度によって異なります。
以下に主な控除制度とその控除額の概要を示します。

住宅ローン控除

住宅ローン控除では、年末の住宅ローン残高の1%が控除されます。
例えば、年末の住宅ローン残高が2,000万円の場合で控除割合が1%ですと、20万円が所得税から控除されます。
また控除が適用される期間は、10年となっています。

*昨今の税制改正により、住宅ローンの控除額や適用期間は居住年度によって変更がありました。
居住開始年度が

  • 「令和3年1月1日から令和4年12月31日まで」の方
    控除額1% / 控除期間13年
  • 「令和4年1月1日から令和5年12月31日まで」の方
    控除額年末残高等〔上限3,000万円〕×0.7% / 控除期間13年
  • 「令和6年1月1日から令和7年12月31日まで」の方
    控除額年末残高等〔上限2,000万円〕×0.7% / 控除期間10年

といった具合に控除内容が異なっています。

ただ、2025年現在、外壁塗装をご検討の方は最近でも6~8年前に入居をされている方である、という前提のもとで控除額について記載しております。

詳しい控除内容についてはNo.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)をご参照ください。

住宅特定改修特別税額控除

住宅借入金等特別控除では、省エネ改修工事の場合、工事費用の10%が控除されます。
例えば、外壁塗装の工事費用が100万円の場合、10万円が所得税から控除されます。
ただし、控除額の上限は20万円となっています。そのため工事費用が200万円を超える場合でも控除額は20万円となります。

詳しい控除内容についてはNo.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)をご参照ください。

04 確定申告の時期と手続きを行う場所

まず確定申告の時期ですが、例年2月16日から3月15日までとされていますが、土日祝日と重なる場合はその日程が前後することがあります。
例えば、令和6年(2024年)分の確定申告期間は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)まででした。

申告年度によって、期間が変わるので、確定申告を行う予定がある人は必ず日程を事前に確認しておきましょう。

なお、還付申告の場合は、上記期間ではなく翌年の1月1日から提出可能となっています。
令和6年(2024年)分の還付申告は、2025年1月1日(水)から可能でした。

続いて手続きを行う場所ですが、主に3つあります。

  • 自宅
    自宅から確定申告を行う場合オンライン(e-tax)か郵送の2つがあります。
    • e-Tax
      インターネットを利用して申告書を電子的に提出する方法です。
      マイナンバーカードを利用する「マイナンバーカード方式」と、税務署で発行されるIDとパスワードを利用する「ID・パスワード方式」の2種類があります。
    • 郵送
      申告書を作成し、管轄の税務署または業務センターに郵送する方法です。
      申告書は税務署で揃えることもできますが、国税庁のHPからダウンロードすることも可能です。
  • 税務署
    住民票の住所地を管轄する税務署に直接申告書を持ち込むことができます。
    税務署の開庁時間は、月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時までです。管轄の税務署は国税庁のHPで検索できます。
  • 確定申告会場
    確定申告会場は、確定申告期間中に設置される特設会場です。申告書の作成相談や提出ができます。事前予約や整理券が必要な場合もあるので、詳細は各地域の税務署の案内を確認してください。
    各手続き方法のメリット・デメリット
    • 自宅
      税務署に行かずに申告できるため便利ですが、対面での相談ができないことがあります。電話で問合せすることは可能です。
    • 税務署
      対面で相談しながら申告書を作成できますが、混雑することが多いです。
    • 確定申告会場
      その場でスタッフの説明を受けながら申告書を作成・提出できますが、事前予約が必要な場合があります。

05 必要な書類と入手方法、申請の流れ

書類にサインをする様子

確定申告に必要な書類、その入手方法や申請手順について、以下に一例をご紹介します。

必要書類一覧例

  • 確定申告書
    所得税の申告に使用する書類です。
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
    住宅ローン控除を受けるための計算明細書です。
  • 住民票
    居住の確認のために必要です。
  • 残高証明書
    住宅ローンの残高を証明する書類です。
  • 登記事項証明書
    住宅の登記情報を確認するための書類です。
  • 請負契約書または売買契約書
    工事の契約内容を確認するための書類です。
  • 給与の源泉徴収票
    所得税額などの確認のために必要です(会社員の場合)。
  • 耐震基準適合証明書または既存住宅性能評価書
    耐震性の確認のために必要です(中古住宅の場合)。
  • マイナンバーカードまたは通知カード
    本人確認のために必要です。

書類の準備方法

  • 住民票
    市区町村の役所で取得できます。
  • 残高証明書
    住宅ローンを借りている金融機関から発行されます。
  • 登記事項証明書
    法務局で取得できます。
  • 請負契約書または売買契約書
    工事業者や不動産業者から提供されます。
  • 給与の源泉徴収票
    年末調整後に会社から発行されます。
  • 耐震基準適合証明書または既存住宅性能評価書
    工事業者や不動産業者から提供されます。
  • マイナンバーカードまたは通知カード
    市区町村の役所で取得できます。

申告手順

  • 必要書類をすべて準備します。
  • 確定申告期間中に管轄の税務署へ提出します。
  • e-Taxを利用してインターネット経由で申告することも可能です。

詳細については、税務署等公的機関に確認したり、外壁塗装を依頼する業者に相談することができるので、積極的に利用することを推奨いたします。

06 注意するポイント

外壁塗装費用の確定申告を行う際に注意するポイントをあげておきます。

注意点一覧

  • 申告期限を守る、早めの提出を心がける
    確定申告の期限は通常、翌年の2月16日から3月15日までです。
    この期間内に申告を行わないと、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。
    また期限間近になると、税務署や申告会場は大変混雑します。
    書類に不備があったり、不足があった場合に再提出する必要がありますが、期限ぎりぎりですと再提出に時間がかかり、間に合わない事態を招いてしまう可能性があります。
    そうしたアクシデントを避けるためにも早め早めの提出を心がけましょう。
  • 必要書類の準備
    住民票、残高証明書、登記事項証明書、請負契約書、給与の源泉徴収票、耐震基準適合証明書、マイナンバーカードなど、必要な書類を事前に揃えておくことが重要です。
    中には塗装業者や銀行に用意してもらわなければならない書類もあるため、十分事前に用意しておきましょう。
  • 工事内容の確認
    外壁塗装が省エネ効果を高める工事や耐震性を向上させる工事の一部であることを確認します。
    これにより、住宅ローン控除や住宅特定改修特別税額控除の対象となるかどうかが決まります。
  • 領収書や証明書の保管
    工事費用の領収書や施工内容を記載した書類を大切に保管しておきます。これらの書類は、申告時に必要となります。
  • 控除制度の確認

    住宅ローン控除や住宅特定改修特別税額控除など、適用される控除制度を間違えないように確認します。適用条件や控除額を正確に理解しておくことが重要です。
    確定申告を検討されている方は、外壁塗装を依頼する業者に予め質問しておくといいでしょう。

    三和ペイントでは確定申告に必要な書類関連についてご相談を承っております。
    お気軽に最寄り支店へご連絡ください。最寄りの支店を調べる
  • 専門家への相談
    税理士や公的機関に相談することで、申告手続きや必要書類についてのアドバイスを受けることができます。特に初めて確定申告を行う場合は、専門家のサポートを受けると安心です。

07 二回目以降の確定申告

初回の申告と異なり、二回目以降は手続きが簡略化されることが多いです。
特に会社員の方は年末調整時にまとめて行うことができます。

    • 年末調整
      会社員の場合、二年目以降は年末調整で控除申請ができます。
      年末調整では、住宅ローン控除の申請書類を会社に提出します。
    • 必要書類
      住宅借入金等特別控除額の計算明細書: 住宅ローン控除の計算に必要な書類です。
      借入金の年末残高等証明書: ローンの年末残高を証明する書類です。
      増改築等工事証明書: 外壁塗装工事を証明する書類です。施工業者から発行されます。
    • 手続きの流れ
      会社に必要書類を提出し、年末調整で控除申請を行います。
      控除額が給与から差し引かれ、税金が軽減されます。
    • 注意点
      初回の確定申告同様、必要書類を期限内に提出することが重要です。
      書類の不備がないように確認しましょう。

08 よくある質問と疑問点

これまでのおさらいのようになりますが、外壁塗装の確定申告に関するよくある質問・疑問点をまとめます。

1. 外壁塗装費用は確定申告で控除できる?
外壁塗装費用は、特定の条件を満たす場合に限り、確定申告で控除の対象となります。
主に住宅ローン控除や住宅特定改修特別税額控除が適用される可能性があります。
2. どのような条件を満たせば控除の対象になる?
住宅ローン控除の場合、
住宅の床面積が50平方メートル以上であること、
前年の合計所得が3,000万円以下であること、
住宅ローンの償還期間が10年以上であること
などが条件です。住宅特定改修特別税額控除の場合、省エネ効果を高める工事であること、工事費用が50万円を超えることなどが条件です。
3. 必要な書類には何がある?
住民票、残高証明書、登記事項証明書、請負契約書、給与の源泉徴収票、耐震基準適合証明書、マイナンバーカードなどが必要です。
4. 確定申告の手続きはどうすればいい?
e-Taxを利用してインターネット経由で申告するか、郵送で申告書を提出する方法があります。
また、税務署に直接持ち込むことも可能です。確定申告期間は通常、翌年の2月16日から3月15日までです。
5. 控除額はどのように計算する?
住宅ローン控除の場合、年末の住宅ローン残高の1%が控除されます。
住宅特定改修特別税額控除の場合、工事費用の10%が控除されますが、控除額の上限は20万円です。

09 外壁塗装の確定申告に困ったら

確定申告の手続きに不明点があったり、気になることがあれば税務署など公的期間に確認することをお勧めします。
その他、外壁塗装を行う業者に相談することも一つの方法です。リフォーム工事だけでなく、確定申告に関連するサポートも対応可能かどうかは、見積もりを依頼するときに確認してみるといいでしょう。

三和ペイントでは塗装リフォーム工事の施工前、施工後に限らず確定申告についてご相談がある場合は対応が可能です。お気軽に最寄り支店へお問合せください。
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