予算が心配な外壁塗装、
賢い対処法と注意点

INDEX目次

SHARE X facebook

01 外壁塗装にかかる一般的な費用

スカイブルーとホワイトの戸建と硬貨の3Dレンダリング

外壁塗装の費用は、住宅の規模や塗装範囲、使用する塗料の種類によって大きく異なります。一般的な戸建て住宅で外壁のみを塗り替える場合、30坪程度で60万円前後、50坪程度で100万円前後が目安となります。外壁と屋根を同時に塗装すれば、足場代などのコストを抑えられるため割安になります。また、高級な塗料を選ぶと耐久性は高まりますが、費用も高くなる傾向にあります。適切な塗料の選定と、塗装範囲の絞り込みが賢明な費用対効果につながるでしょう。

1-1. 塗装面積が大きいほど高額に

外壁塗装の費用は塗装面積に比例して高くなる傾向があります。一般的な戸建て住宅では、延床面積が30坪程度であれば60万円前後、40坪程度で80万円から130万円程度、50坪を超えると90万円以上の費用がかかると言われています。塗装面積が広がれば、必要な塗料の量が増え、作業工数も多くなるためです。外壁の合計面積は住宅の延床面積の約1.2倍と見積もられているため、延床面積が大きければ塗装面積も広くなり、費用は高額になる可能性が高くなります。

1-2. 外壁と屋根の同時塗装は割安

外壁塗装に加えて屋根の塗り替えも必要な場合は、同時に施工を行うことをおすすめします。外壁と屋根を別々に塗装すると、足場の設置や撤去作業が2回必要になり、その分の費用がかさみます。一方、同時施工であれば足場代などの共通費用が1回分で済むため、割安な料金設定が可能になります。さらに塗装範囲が広がることで、材料費や人件費についても割引が適用されることが多く、トータルコストを抑えられます。ただし、屋根の劣化状況によっては屋根の一部分のみの塗装で済む場合もあり、その際は同時施工のメリットが薄れます。外壁と屋根の状態を専門家に確認し、適切な判断を仰ぐことが重要です。

1-3. 高級塗料を選ぶと費用アップ

外壁塗装に使用する塗料の種類によって、費用は大きく変わってきます。一般的に安価なアクリル塗料は1平方メートルあたり1,000円前後ですが、耐久性に優れたフッ素塗料になると3,000円以上と高額になります。塗料代だけでも数万円から10万円以上の開きが出る可能性があります。

塗料の種類ごとの特徴と価格帯、耐用年数は以下の通りです。

・アクリル塗料(1,000~1,800円/平方メートル、耐用年数3~5年)
・ウレタン塗料(1,400~2,500円/平方メートル、耐用年数5~10年)
・シリコン塗料(1,800~3,500円/平方メートル、耐用年数8~15年)
・ラジカル塗料(2,200~2,800円/平方メートル、耐用年数10~15年)
・フッ素塗料(3,000~5,000円/平方メートル、耐用年数10~20年)

価格が高い塗料ほど、耐久性や機能性に優れています。しかし、塗料代は工事全体の2~3割程度を占めるに過ぎません。長期的に見れば、安価な塗料を選んで頻繁に塗り替える必要があれば、結果的にコストがかさむ可能性があります。予算と目的に合わせて、適切な塗料を選ぶことが賢明です。

 

02 お金がないときの4つの賢い対処法

スケッチブックに書かれた補助金の文字

外壁塗装にはまとまった費用が必要ですが、賢い対処法を選べば予算内に収まる可能性があります。まずは火災保険が適用できるかを確認しましょう。自然災害などで外壁が損傷した場合、保険金の支払い対象となる場合があります。リフォームローンの活用も検討できます。一括払いが難しい場合、分割払いにすれば負担を軽減できます。自治体による補助金や助成金制度を利用するのも賢明な選択肢です。工事費用の一部が補填されるため、予算に余裕ができます。さらに、複数の業者から見積りを取ることで、適正価格を知ることができ、最も条件の良い業者を選べます。

2-1. 火災保険の利用が可能か確認

火災保険には、自然災害などで外壁や屋根が損傷した際に補償が受けられる場合があります。落雷、台風、雪害、雹災などで外壁塗装が必要になれば、加入している火災保険の内容によっては保険金が支払われる可能性があります。ただし、申請期限や免責金額の条件があるため、事前に保険会社に確認することが重要です。保険金請求後は保険会社から現地調査が入り、損害状況に応じた金額が支払われます。業者の施工ミスや故意による破損は補償対象外なので注意が必要です。

2-2. リフォームローンの活用

リフォームローンとは、住宅のリフォーム工事に特化した融資制度です。外壁塗装も対象となるため、まとまった費用が用意できない場合でも利用できます。ローンを組めば、一括払いではなく分割払いが可能になり、初期費用を抑えられます。

しかし、ローンには金利が課されるため、最終的な支払総額は現金一括払いよりも高くなります。また、ローン審査があるため、収入や他の借入状況によっては利用できない場合もあります。利用を検討する際は、金利や返済期間、月々の返済額をよく確認し、家計への影響を慎重に見極める必要があります。

リフォームローンの利用を希望する場合は、金融機関や外壁塗装業者に相談しましょう。業者によっては、提携ローン会社を紹介してくれるところもあります。

2-3. 補助金・助成金制度の利用

外壁塗装の費用を抑える方法の一つとして、自治体が提供する補助金や助成金制度を利用することが考えられます。多くの自治体では、省エネ住宅改修や住宅リフォームに対する補助金・助成金制度を設けており、外壁塗装工事も対象となる場合があります。

補助金・助成金の金額は自治体によって異なりますが、一般的には実際にかかった工事費用の5~20%程度が補助されます。無料で工事ができるわけではありませんが、適切に制度を活用することで費用の負担を和らげることができます。ただし、申請期間や条件など細かい規定があるため、事前に自治体のホームページなどで詳細を確認する必要があります。不明な点は自治体や外壁塗装業者に問い合わせましょう。

自治体による補助金・助成金制度を利用するメリットは、予算に余裕がない場合でも安心して外壁塗装工事を実施できる点にあります。適切なタイミングで外壁の手入れを行うことで、将来的な大規模修繕を防ぐことができます。制度の有無や内容を確認し、要件を満たせば積極的に申請を検討しましょう。

2-4. 複数業者の見積り比較

外壁塗装の費用を抑えるには、複数の業者から見積もりを取り、適正な価格を知ることが重要です。同一条件で比較することで、不当に高い金額を請求されているかどうかを確認できます。ただし、安さばかりを追求するのではなく、塗料の品質や業者の信頼性、アフターフォローなども考慮する必要があります。

施工範囲や使用する塗料のグレードなどを統一した上で、3社程度の業者から見積もりを取ると良いでしょう。単に安い業者を選ぶのではなく、見積内容を丁寧に確認し、適正な価格と高い品質を両立できる業者を選びましょう。優良業者は現地調査を行い、状況に応じた適切な工事内容を提案してくれます。

 

03 避けるべき外壁塗装の危険な節約法

外壁の劣化が進行している状態で外壁塗装を先送りにすると、ひび割れやコーキングの剥がれなどが深刻化し、雨水の浸入によりカビや雨漏りが発生するリスクが高まります。さらに、シロアリなどの有害生物が侵入して家屋の構造を損なう恐れもあります。このように放置を続けると、最終的には大掛かりな補修工事が必要となり、外壁塗装以上の費用が発生する可能性があります。外壁の状態に応じて適切なタイミングで外壁塗装を実施することが賢明な選択となります。

3-1. 必要な時期の先延ばしは損害拡大の恐れ

外壁の劣化が進行すると、ひび割れやコーキングの剥がれなどが生じ、雨水の浸入によりカビや雨漏りが発生する恐れがあります。カビは健康被害の原因にもなるため、放置は避けるべきです。さらに、劣化した箇所から害虫が侵入し、家の構造材を食い荒らす可能性もあります。このように外壁の劣化を放置すれば、外壁塗装以上の大規模な補修工事が必要となり、多額の費用がかかる可能性が高くなります。外壁の状態を定期的に点検し、適切なタイミングで外壁塗装を実施することが賢明な選択となります。

3-2. 素人による自力塗装は品質が心配

費用を抑えるために外壁塗装業者に依頼せず、自分で塗装を行おうとする人もいます。しかし、塗装には専門的な知識と技術が必要不可欠です。素人が自力で外壁全体を塗り直そうとすると、塗り残しや塗りムラが生じがちです。また、高所作業では転落の危険性もあり、安全面での懸念も大きくなります。プロの業者でさえ、作業完了まで平均2週間以上を要するのが一般的です。自力塗装では時間と労力がかさみ、期待した品質が得られない可能性が高くなります。

3-3. 安価な塗料は耐久性に欠ける

外壁塗装に使用する塗料は、価格と耐久性がトレードオフの関係にあります。安価な塗料は初期費用を抑えられますが、耐用年数が短いため数年おきに塗り替えが必要になります。その結果、足場代などの付随費用が重なり、長期的に見ると高額になる可能性があります。一方で高価な塗料は耐久性に優れ、10年以上の長期間メンテナンスフリーで使用できます。初期投資は高くなりますが、ライフサイクルコストを抑えられます。塗料の選定は、建物の状況や予算を考慮し、長期的な視点で賢明に行うことが重要です。

3-4. 安さ一点張りの業者に注意

外壁塗装の費用を抑えたいからといって、極端に安価な見積りを提示する業者に依頼するのは避けるべきです。そのような業者は、塗料を薄めたり人件費を削ったりするなど、手抜き工事を行う可能性が高いためです。適切な施工が行われないと、塗装の耐久性が低下し、早期に再度の塗り替えが必要になるなど、結果的にコストがかさむリスクがあります。

信頼できる業者は、適正な価格設定と丁寧な施工を心がけています。価格が安すぎる業者には注意が必要で、複数の業者から見積りを取り、価格の妥当性を確認することが賢明です。

 

04 信頼できる外壁塗装業者の見分け方

外壁塗装を依頼する際は、業者の信頼性を確認することが大切です。優良業者は、現地調査を丁寧に行い、建物の状況を細かく確認します。また、見積り内容を分かりやすく提示し、工事後のアフターフォローにも力を入れています。こうした点に注目して、適切な業者を選びましょう。

4-1. 丁寧な現地調査と状況確認

優良な外壁塗装業者は、現地調査の際に建物の状態を細部まで入念にチェックします。外装劣化診断士や建築士など、専門資格を持った有資格者が在籍していれば、より正確な診断が可能です。建物の経年劣化具合や塗装の必要性、適切な工事範囲を的確に見極め、お客様に最適な提案をしてくれます。単に見た目だけでなく、測量器具を使って正確な面積を算出するなど、丁寧な現地調査を心がける業者であれば信頼できる証しといえるでしょう。

4-2. 分かりやすい見積り内容の提示

外壁塗装の見積りは、材料費と施工費を明確に区別して記載されていることが大切です。また、塗装面積が正確な数値で示されていれば、適正な金額が提示されていると判断できます。信頼できる業者は、わかりやすい見積書を作成し、内容を丁寧に説明してくれます。

一方で、見積り内容が不明瞭な業者は避けた方が賢明です。施工内容が具体的に示されていないと、追加料金が発生するリスクがあります。適切な見積りを出してくれる業者は、お客様に対して誠実な対応を心がけています。

4-3. アフターフォローが充実している

外壁塗装の施工後も、信頼できる業者は長期にわたるアフターフォローを行います。例えば、1年後、3年後、5年後と定期的に点検を実施し、塗膜の劣化状況を確認します。万が一、施工不良による塗膜の剥がれや変色などの不具合が見つかった場合は、無償で補修を行ってくれます。また、工事の保証期間も5年から10年程度と長期に設定している業者が多くあります。保証内容については契約時に書面で明記しておくことが大切です。このように、外壁塗装後も丁寧なフォローアップを心がける業者を選ぶことで、安心して長期間お住まいを使用できます。

 

05 予算に合わせた賢い選択が重要

外壁塗装には一定の費用がかかるものの、火災保険の活用や補助金・助成金制度の利用、リフォームローンの組み合わせなど、様々な対処法を検討することで費用を抑えられる可能性があります。しかし、必要以上に先延ばしにしたり、素人による自力塗装を試みたり、安価な塗料を使用したりするなどの危険な節約法は避けるべきです。外壁の劣化を放置すれば、将来的に大規模な修繕が必要になる可能性があり、結果的にコストがかさむおそれがあります。信頼できる優良業者を選び、予算に合わせた最適な塗装プランを立案することが賢明な選択となります。