屋根修理の費用と業者選びのポイント

INDEX目次

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01 屋根修理の方法と費用

白い戸建て模型を使い説明をするスタッフ

屋根の修繕には様々な工法があり、それぞれに異なる費用がかかります。まずは現在の屋根の状態を専門業者に診断してもらい、最適な修繕方法を選ぶことが大切です。その中でも塗装工事は比較的低コストですが、屋根材の劣化が進行している場合は大規模修繕となる葺き替えやカバー工法が必要になります。部分補修や板金交換、漆喰補修、雨樋交換など、修理箇所や内容によっても費用は変わってきます。複数の業者から見積もりを取り、適正価格を比較検討することをおすすめします。

1-1. 足場工事の費用

屋根修理を行う際は、作業員の安全を確保するために足場の設置が不可欠です。足場には様々な種類がありますが、一般的には「クサビ足場」「パイプ足場」「単管ブラケット足場」などが使われています。足場の費用は設置面積や建物の形状、周辺環境によって変動しますが、おおよその目安として1平米あたり800円から1,800円程度が相場となっています。

足場設置費用の概算を知りたい場合は、建物の外周長から概算の足場架面積を算出することができます。例えば、外周長が40mの建物であれば、足場架面積は約60平米と見積もれます。この面積に単価を乗じることで、おおよその足場工事費用が分かります。ただし、詳細な見積もりを行うには現地調査が必要不可欠です。足場工事は屋根修理の重要な準備工事なので、確実な施工を心がける必要があります。

1-2. 塗料の種類と費用

屋根塗装で一般的に使われる塗料は、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料の3種類です。それぞれ価格帯と耐久性が異なるため、お住まいの状況と予算に合わせて適切な塗料を選ぶ必要があります。

ウレタン塗料は比較的安価で、1平米あたり1,500円~2,200円程度が相場です。ひび割れに強く密着性も良いのが特徴ですが、耐用年数は3~5年と他の塗料に比べて短めです。

シリコン塗料は費用と耐久性のバランスが取れた標準的な塗料で、1平米あたり2,000円~3,500円が相場です。光沢感があり、汚れに強く、カビや藻が付きにくいのが利点です。耐用年数は5~8年程度です。

フッ素塗料は最も高価で、1平米あたり4,000円~5,000円が相場ですが、耐久性が非常に高く、紫外線にも強いのが特徴です。定期的なメンテナンスが少なくて済むため、長期的にコストパフォーマンスに優れています。耐用年数は7~10年と見込まれています。

いずれの塗料を選ぶかによって、工事費用は大きく変わってきます。お住まいの立地条件によっても耐用年数は変わるため、専門家に相談しながら、目的と予算に合った塗料を選ぶことをおすすめします。

1-3. 葺き替え工事の費用

屋根の葺き替え工事は、既存の屋根を完全に撤去し、新しい屋根材を設置する大がかりな工事です。工程としては、まず既存の屋根材とルーフィング(防水シート)を撤去します。その後、下地となる野地板の状態を確認し、必要に応じて補修や張り替えを行います。最後に新しいルーフィングと屋根材を設置する流れとなります。

費用は使用する屋根材によって大きく変わりますが、一般的な相場は以下の通りです。
・屋根材撤去費用:1平米あたり2,000円〜3,500円
・下地補修費用:増し張り2,000円〜3,000円、張り替え4,000円〜5,000円
・ルーフィング設置費用:1平米あたり700円〜1,200円
・新しい屋根材費用:1平米あたり5,000円〜15,000円

加えて、足場設置費用として1平米あたり600円〜1,500円が別途かかります。アスベスト入り屋根の撤去は特殊な作業が必要となり、1平米あたり20,000円〜85,000円と高額になる点にも注意が必要です。

1-4. カバー工法の費用

カバー工法は、既存の屋根材の上に新しい防水シートと屋根材を重ねて施工する方法です。主に使われるのはスレート屋根やカラーベスト屋根の上にガルバリウム鋼板を重ねる工法となります。塗装工事に比べると材料費がかさむため費用は高めですが、葺き替え工事よりは安価に抑えられる利点があります。一般的な費用相場は1平米あたり8,000円から15,000円程度と見積もられています。ケラバ部分の加工なども必要になるため、実際の見積りを依頼することをおすすめします。

1-5. 部分補修の費用

瓦屋根は耐久性が高い素材ですが、経年劣化や自然災害により破損やひび割れが生じる場合があります。そうした損傷を放置すると雨水の浸入により家屋の基礎が腐食するリスクがあるため、早期の補修が重要です。

瓦の部分補修費用は、1枚あたり3,500円~6,000円程度が一般的な相場となっています。主な補修内容としては、風雨によるずれや破損した瓦の交換、ひび割れた瓦の取り替え、漆喰の剥がれへの対応などがあげられます。

漆喰は瓦と瓦の隙間を埋める白い材料で、雨水の浸入を防ぐ役割があります。漆喰が剥がれた場合は、古い漆喰を除去し新しい漆喰を詰め直す補修が必要になります。漆喰補修の費用は1平方メートルあたり5,000円~12,000円程度が相場です。

このように瓦屋根の部分補修には様々な工程が含まれるため、正確な見積りを得るには専門業者による現地調査が不可欠です。適切なタイミングでの補修により、屋根全体の寿命を延ばすことができます。

1-6. 板金交換・抜板の費用

棟板金は屋根の棟部分に設置される板金で、台風の飛来物や経年劣化により損傷することがあります。棟板金は釘で固定されていますが、年数が経つと徐々に抜けてきて捲れ上がったり剥がれたりし、雨漏りの原因になります。定期的な点検が重要です。棟板金の交換費用は、1平米あたり7,000円から10,000円程度が相場となります。

貫板は棟板金を固定する板のことで、棟板金の剥がれで貫板の腐食に気づくケースが多くあります。隙間から雨水が浸入すると腐食が進行するため、メンテナンスが必要になります。貫板の交換工事費用は、1平米あたり5,000円から10,000円程度が一般的な相場です。

1-7. 貫板交換工事の費用

貫板は棟板金を固定する役割を持つ板で、経年劣化により腐食することがあります。腐食が進行すると棟板金が剥がれ落ちる原因となり、雨水の浸入を招きます。そのため、定期的な点検と適切な時期での貫板交換が重要です。貫板交換工事は、まず棟板金を外して貫板の状態を確認し、腐食している場合は新しい貫板に取り替えます。この工事の費用相場は、1平方メートルあたり6,000円から12,000円程度が一般的です。屋根の形状や規模によって変動しますので、正確な見積もりは専門業者に依頼しましょう。

1-8. 漆喰補修の費用

漆喰は石灰を主成分とする白色の材料で、瓦と瓦の隙間を埋めて雨水の浸入を防ぐ役割があります。長年の風雨にさらされると劣化が進行し、ひび割れや欠けが生じます。また、地震の揺れによって瓦がずれたり歪んだりすると、漆喰部分にも影響が出ます。そのような場合は漆喰の補修工事が必要になります。

補修の手順は、まず古い漆喰を取り除き、葺き土を整えて適度な湿り気を与えます。次に新しい漆喰を隙間なく塗り重ね、最後に専用のコテで表面を整えます。

漆喰補修の費用相場は、1平方メートルあたり5,000円から12,000円程度が一般的です。ただし、補修範囲が広い場合は費用が高くなる傾向にあります。漆喰の劣化状況によっては部分的な補修で済む場合もあれば、全面的な補修が必要な場合もあるためです。

1-9. 雨樋交換の費用

雨樋は建物の軒先や軒裏を守り、雨水を適切に排出する重要な役割を担っています。しかし、長年の使用により劣化が進行すると、雨漏りの原因となってしまいます。そのため、定期的な点検と適切な時期での交換や補修が欠かせません。

雨樋の交換費用は、既存の雨樋を全て撤去し新しいものと取り替える場合、1メートル当たり3,500円から6,000円程度が一般的な相場となっています。一方、破損した部分のみを交換する部分交換であれば、作業範囲が限定されるため、費用を抑えられる可能性があります。

また、雨樋の継手部分の補修費用は、1か所あたり6,000円から25,000円程度と幅がありますが、継手の劣化は雨漏りの大きな原因となるため、早めの対応が賢明でしょう。

雨樋の交換や補修を検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、適正な価格かどうかを比較検討することをおすすめします。

 

02 火災保険で屋根修理が無料になる場合

火災保険は、火災に限らず自然災害による風災、雹災、雪災による屋根の損傷にも適用されます。つまり、台風の強風や落雷、ひょう打ちなどで屋根が破損した場合、火災保険の補償を受けられる可能性があります。一方、地震による屋根の損壊は火災保険の対象外ですが、地震保険に加入していれば火災保険と合わせて保険金の支払いを受けられる場合があります。ただし、地震保険は火災保険に付帯して加入する必要があるため、単独では加入できません。自然災害による屋根の修理費用を抑えるには、火災保険や地震保険への加入が有効な手段となります。

 

03 信頼できる屋根修理業者の選び方

屋根の修理をする作業員

屋根修理は専門的な作業なので、経験豊富で信頼できる業者を選ぶことが大切です。まずは業者のウェブサイトや口コミサイトで実績や評判をチェックしましょう。修理実績が豊富で、高い評価を得ている業者がおすすめです。

次に複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討します。見積書には修理工程と費用内訳が詳しく記載されているか確認してください。不当に高額な見積もりや不要な修理を勧める悪質業者もいるので注意が必要です。相場と比べて適正な金額かどうかを見極めましょう。

最後に、現地調査時の対応や説明が丁寧で分かりやすい業者を選ぶのがポイントです。屋根の状態を適切に診断し、修理方法を的確にアドバイスしてくれる業者なら安心して依頼できます。

 

04 地域と修理内容で変わる費用相場

屋根修理の費用は、地域によって大きく変動します。都市部では人件費が高く、遠方では足場設置などの運搬費が割高になる傾向があります。また、修理内容によっても費用は大きく変わってきます。塗装工事は比較的安価ですが、葺き替え工事やカバー工法では材料費が高くなります。部分補修の場合は作業範囲が小さいため低コストで済む可能性があります。つまり一概に費用を言うことはできず、地域性と修理内容を踏まえた上で、専門業者による現場調査が不可欠となります。