ウレタン塗装の
基礎知識と外壁への適用

INDEX目次

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01 ウレタン塗料の概要

青い背景にオレンジ色の塗料、ブラシ、ローラー、容器の缶

ウレタン塗料は、ウレタン系樹脂を主体とした塗料で、工場などの産業用途から外壁塗装まで幅広い用途に使われています。ウレタン塗料の大きな特長は、場所を選ばずどこにでも使用できる汎用性の高さにあります。また、硬化剤を変更することで、塗膜に様々な性能を持たせることが可能です。ウレタン塗料は他の塗料と比べて密着力が高く、弾力性にも優れているため、木材などの素材にもなじみやすく、塗装後の耐久性も比較的良好です。ツヤ消しタイプとツヤありタイプの2種類があり、仕上がりの質感を選べるのも特徴的です。

1-1. 水性・油性の違いと特徴

ウレタン塗料は、溶剤の種類によって水性と油性に大別されます。油性ウレタン塗料は、シンナーなどの有機溶剤を使用し、水性ウレタン塗料は水を溶剤として使用します。

油性ウレタン塗料は、1液型と2液型があります。1液型は溶剤で希釈して使用しますが、2液型は主剤と硬化剤を混合して使用する必要があります。2液型は耐久性や塗装性に優れる反面、可使時間が短いというデメリットがあります。

一方の水性ウレタン塗料は、有機溶剤を使わないため作業環境への負荷が少なく、臭気も少ないのが特徴です。また、下地との密着性に優れ、健康面での安全性も高いと言えます。ただし、油性に比べると耐久性や耐薬品性で劣る面もあります。

近年は環境配慮の観点から水性ウレタン塗料の需要が高まっていますが、用途に応じて油性と水性を使い分ける必要があります。

1-2. ウレタン塗料の一般的な価格帯

ウレタン塗料の価格は、1平方メートルあたり概ね1,500円から2,000円程度が相場となっています。この価格には塗料代のみが含まれており、足場の設置や高圧洗浄などの下地処理費用は別途必要となります。ウレタン塗装の耐用年数は10年前後と言われており、8年経過した頃から次の塗り替えを検討する必要があります。価格は地域や施工業者によっても異なるため、正確な見積もりを得るには専門業者に相談するのが賢明でしょう。

 

02 他の塗料との比較

見積書と電卓と刷毛

ウレタン塗料は、アクリル塗料に次いで低コストな塗料です。1平米あたり1,500円~2,000円と比較的安価ながら、高級感のある仕上がりが魅力です。一方でシリコン塗料(2,200円~3,200円/平米)やフッ素塗料(3,800円~6,500円/平米)に比べると耐久年数が短く、10年程度と劣ります。しかし扱いやすさと弾力性に優れ、ひび割れや変形に強いのがウレタン塗料の特徴です。用途に合わせて適切な塗料を選ぶことが重要ですが、コストパフォーマンスを重視する場合はウレタン塗料がおすすめです。

 

03 外壁にウレタン塗料を選ぶメリット

ウレタン塗料は外壁塗装に適した優れた特性を備えています。弾力に富んだ塗膜はひび割れや変形に強く、経年劣化にも耐えられます。比較的安価ながら高級感のある仕上がりで、コストパフォーマンスに優れています。扱いやすく補修も容易なため、メンテナンス性に優れています。さらに、多彩な色合いと質感のバリエーションから理想の外観を実現できるのも大きな魅力です。

3-1. 弾力性に優れ、ひび割れを防ぐ

ウレタン塗料は優れた弾力性を備えており、外壁材にひび割れや変形が生じた場合でも、その柔軟性によってひび割れの進行を抑制することができます。ゴムやスポンジのような弾性を想像すると分かりやすいでしょう。経年劣化による外壁材の変形にも追従し、ひび割れが広がるのを防ぎます。さらに、ウレタン塗料は用途を選ばず、様々な建材に使用可能な汎用性の高い塗料です。この柔軟性の高さが、ウレタン塗料の大きな魅力となっています。

3-2. コストパフォーマンスが高く、高級感ある仕上がり

ウレタン塗料は、アクリル塗料に次ぐ低価格帯の塗料ながら、その仕上がりには上質な高級感があります。シリコン塗料やフッ素塗料と同様の光沢と高級な外観が得られるのに、それらに比べて費用を大幅に抑えられるのがウレタン塗料の大きな魅力です。コストパフォーマンスに優れているため、一般住宅の外壁塗装から高級感を求める商業施設の外装まで、幅広い用途に適しています。また、家具の塗装にも使用されることが多く、ツヤのある美しい仕上がりが期待できます。

3-3. 施工性と維持管理のしやすさ

ウレタン塗料は職人に馴染みが深く、多くの施工実績があるため、スムーズな作業が可能です。塗料自体の扱いも簡単なので、DIYの補修にも適しています。弾性に優れているため、ひび割れや変形が起きにくく、メンテナンスが容易です。塗り替え時の手間も少なく、維持管理がしやすい塗料と言えるでしょう。

3-4. 多彩な色合いと質感のバリエーション

ウレタン塗料は、ツヤ消しからツヤありまで様々な質感のバリエーションがあります。仕上がりの質感を自由に選べるのが大きな魅力です。また、無数の色合いから好みの色を選ぶことができ、オリジナリティ溢れる外観を実現できます。さらに、耐久性や撥水性など特殊な機能を持つウレタン塗料も存在します。用途に合わせて最適な塗料を選択できるのがウレタン塗料の大きな強みなのです。

 

04 ウレタン塗料のデメリット

ウレタン塗料は長所がある一方で、いくつかの短所も存在します。まず、耐久性や防汚性が他の塗料と比較して劣る点が挙げられます。ウレタン塗料の耐用年数は10年程度と、シリコン塗料やフッ素塗料に比べて短めです。また、塗膜の表面が比較的滑らかなため、汚れが付着しやすく、長期的な美観を保つのが難しいデメリットがあります。さらに、ウレタン塗料は紫外線や風雨による影響を受けやすく、変色や光沢の低下など早期の劣化が起こりがちです。屋外の外壁塗装では、こうした耐候性の課題が指摘されています。

4-1. 耐久性と汚れ防止性能の課題

ウレタン塗料は、シリコン塗料やフッ素塗料に比べると耐久性が低く、長期間の使用には向いていません。一般的に10年程度で劣化が進行するため、定期的な塗り替えが必要になります。また、汚れが付着しやすく、防汚性能も他の塗料ほど高くありません。紫外線や風雨による影響を受けやすいため、変色や光沢の低下などの劣化が早期に起こる可能性があります。

4-2. 紫外線や風雨による劣化が早い

ウレタン塗料は紫外線や湿気に弱く、長期間の曝露により変色や光沢の低下などの劣化が生じやすい傾向にあります。特に外壁塗装では、日射や雨風にさらされる環境下で使用されるため、劣化のスピードが速くなります。しかし、定期的な補修塗装や保護剤の塗布を行うことで、劣化を最小限に抑えることができます。また、日除けの設置や植栽による日陰の確保なども有効な対策となります。適切なメンテナンスを欠かさず、ウレタン塗料の特性を理解した上で使用することが重要です。

 

05 ウレタン塗装の適切な使用場面

ウレタン塗装は耐久性が10年程度と比較的短く、紫外線や風雨による劣化も早いため、外壁の本体部分をメインに塗装するよりは、付帯する部分の塗装に適しています。例えば、シリコン塗装やフッ素塗装で外壁本体を施工し、ドア枠やサッシ廻りなどの付加部分をウレタン塗装で仕上げるのが賢明でしょう。ウレタン塗装ならコストパフォーマンスに優れ、高級感のある仕上がりが期待できます。また、DIYで家具の補修や塗り直しを行う場合にも、扱いやすく光沢のあるウレタン塗装がおすすめです。