外壁材サイディングボード完全ガイド
– 種類から費用まで徹底解説

INDEX目次

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01 サイディングボードとは?外壁材の一種

1つの窓と草のある家に座っている現代のタン色のビニールサイディング

サイディングボードは、工場で板状に成形された外壁材を指します。施工現場の採寸データに基づいて、加工工場でプレカットされた状態で現場に搬入されるため、施工作業が非常に容易になっています。従来の12mmの製品から15〜16mmが標準となり、耐用年数と耐震性が向上しています。素材や意匠性の豊富さも大きな特徴で、木目調やレンガ調、タイル調などさまざまなデザインが用意されており、近年ではセルフクリーニング機能付きの製品も登場しています。

1-1. サイディングボードの定義と特徴

サイディングボードとは、工場で板状に成形された外壁材のことを指します。あらかじめ施工現場の寸法に合わせてプレカット(切断加工)されているため、現場では微調整を行うだけで済みます。専用の「サイディング留付金具」を下地材に打ち込み、ジョイント部分には伸縮性のあるシーリング材を充填することで、高い防水性と気密性を実現しています。最後に塗装を施すことで、サイディングボードの外壁が完成します。

従来の外壁材に比べ、サイディングボードは施工が容易で工期が短縮できるメリットがあります。また、窯業系、金属系、木質系、樹脂系など様々な素材が用意されており、デザインのバリエーションも豊富です。近年ではセルフクリーニング機能や抗菌機能を備えた高機能製品も増えてきました。

1-2. 外壁タイルや塗装と比べた長所と短所

サイディングボードは工場で製品化されているため、施工が容易で手間がかからないのが大きな長所です。一方で、タイルや塗装と比べると重厚感に欠ける場合があり、デザイン性では劣る可能性があります。また、経年劣化による色あせや防水性の低下が避けられず、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。しかし、メンテナンスサイクルは比較的長く、セルフクリーニング機能付きの製品も増えているため、手入れが容易になってきています。初期費用は安価ですが、ランニングコストを考慮する必要があります。

1-3. サイディングボードの耐久性と補修の重要性

サイディングボードは外壁材の中でも耐久性に優れていますが、長期間使用すると徐々に劣化が進行します。特に日光による紫外線や雨風の影響で、色あせや防水性能の低下が起こります。そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

劣化の兆候としては、シーリング部分の縮みや剥がれ、壁面に白い粉が付着すること、外観が全体的にくすんでいることなどが挙げられます。こうした症状が見られたら、早めに専門家による点検を受けることをおすすめします。劣化が進行すると外壁材へのダメージが大きくなり、耐用年数を縮めてしまう恐れがあります。

一方で、適切なタイミングで補修を行えば、サイディングボードを長期間使用することが可能です。塗装のメンテナンスサイクルは10年前後が目安ですが、気候や使用する塗料の種類によっても変わってきます。定期的な点検を怠らず、劣化に気づいたら速やかに補修工事を検討しましょう。初期投資は高くつきますが、サイディングボードの長寿命化につながります。

 

02 人気のサイディングボード素材と種類

クリーム色のサイディングボードの表面

サイディングボードは大きく分けて窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

窯業系サイディングは、セメントと繊維質原料を混ぜ合わせて高熱で焼成した外壁材で、軽量ながら強度があり、デザイン性に富んでいます。戸建て住宅で使われているサイディングの中では78.3%と最も高いシェアを占めています。レンガやタイル、石積み調など様々なデザインがあり、近年では汚れにくいコーティングが施された製品も登場しています。

金属系サイディングは金属板と裏打ち材から成り、アルミニウムやステンレス、ガルバリウム鋼板が主流です。窯業系に比べて3分の1程度の軽量ながら、断熱性能は約5倍と優れています。重ね張りにも適しており、メンテナンスサイクルも長めです。デザインはモダンなタイル調やレンガ調が人気があります。

木質系は天然木に塗装と不燃処理を施したサイディングで、木の呼吸を妨げない炭化処理がされています。本物の木材ならではの温かみのある外観が特徴ですが、価格が高く、メンテナンスサイクルも短めです。

樹脂系は塩化ビニル樹脂製で、弾力性と防水性に優れ、寒冷地で人気があります。目地がないためメンテナンスが楽ですが、防音性に劣ります。価格は高めですが、コストパフォーマンスに優れています。

2-1. 窯業系 – 耐久性と意匠性に優れる

窯業系サイディングは、セメント系の原料に繊維質を混ぜ込み、高温で焼成した外壁材料です。軽量ながら高い強度を持ち、レンガ調やタイル調、石積み調など、多彩なデザインと質感を楽しめます。近年では汚れにくいコーティングが施された製品も登場しています。シェア率が高いため、様々な選択肢があり、施工費用も1平方メートルあたり3,000円から4,000円程度とリーズナブルです。ただし、デザインや性能によって価格は変動するので、事前に見積もりを取ることをおすすめします。

2-2. 金属系 – 軽量で施工が容易

金属系サイディングボードは、アルミニウムやステンレス鋼板、ガルバリウム鋼板などの金属製の外壁材です。窯業系サイディングに比べて非常に軽量で、重さは約3分の1程度にすぎません。しかし、その軽量さとは裏腹に、断熱性能は窯業系の約5倍と非常に高いのが特徴です。

施工の際は重ね張りが可能なため、張り替え工事に適しています。デザイン面でも進化しており、従来のトタン外壁のイメージとは異なり、タイル調やレンガ調のモダンなデザインが多数ラインナップされています。金属ならではのシャープな印象が、現代的な住宅によく合います。

一方で、金属系サイディングは価格が比較的高めに設定されているのがデメリットです。金属の種類によっても異なりますが、1平米あたり4,000円から5,000円程度が一般的な施工価格帯となっています。

2-3. 木質系 – 自然な風合いが魅力

木質系サイディングボードは、天然木を素材として使用しています。木材は炭化処理や不燃処理が施されており、木の呼吸を妨げずに自然な風合いを楽しめます。木目や色のバラつきが温かみのある外観を演出してくれるのが特徴です。日本では樹種の選択肢が豊富なため、明るい色合いでナチュラルな雰囲気を出したり、濃い色で和風モダンなデザインを楽しむことができます。

一方で、木質系サイディングは水に弱い点が欠点です。メンテナンスサイクルが比較的短く、10年程度で塗り替えが必要になります。施工費用も1平米あたり6,000円前後と高額になる傾向があります。環境に優しい素材を使いたい方には魅力的ですが、手間とコストがかかることを覚悟しなければなりません。

2-4. 樹脂系 – コストパフォーマンスに優れる

樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材です。軽量で加工が容易なため、施工が簡単で工期を短縮できます。また、目地がないためシーリング材が不要で、メンテナンスサイクルが長いのが特徴です。一方で、樹脂特有の音の遮断性が低いため、防音性は他の素材に劣ります。価格は1平方メートル当たり9,000円前後と比較的高額ですが、長期的なコストパフォーマンスに優れています。寒冷地での凍害対策や、デザイン性を重視する場合は適しています。

 

03 サイディングボード選びのポイント

サイディングボードには様々な種類があり、用途や好みに合わせて適切な製品を選ぶ必要があります。まず外観やデザインを重視するのであれば、窯業系サイディングがおすすめです。レンガ調やタイル調、石目調など、バリエーション豊富なデザインから好みの質感や色合いを選べます。一方で価格を重視する場合は、窯業系サイディングの中でもシンプルなデザインのものを選ぶと比較的リーズナブルな価格帯となります。また、気候風土に合わせて耐久性の高い製品を選ぶことも大切です。例えば湿気が多い地域ではカビや藻が発生しやすいため、セルフクリーニング機能付きの製品を選ぶと良いでしょう。このように、デザイン性、コスト、気候風土など、様々な観点から自分の用途に合ったサイディングボードを選ぶことが重要です。

3-1. デザイン性と外観を重視する

外観を最優先したい場合は、窯業系サイディングがおすすめです。窯業系には木目調やレンガ調、タイル調など、様々なデザインと色合いのバリエーションが用意されています。カタログを見るだけでなく、実際のサンプルに触れて質感を確かめることが大切です。太陽光の下で実際にどのように映るかを確認し、展示場や施工実例を見に行くのも良いでしょう。外壁の色は光の反射で印象が変わるため、慎重に選ぶ必要があります。

3-2. 初期費用とランニングコストを考慮

サイディングボードの選定では、初期費用だけでなく長期的なランニングコストも考慮する必要があります。素材によって価格は大きく異なり、窯業系が比較的リーズナブルな一方で、金属系や樹脂系は高額になる傾向にあります。しかし、金属系は耐久性に優れメンテナンスサイクルが長いため、結果的にランニングコストを抑えられる可能性があります。無機質な素材は初期費用が高くても、耐用年数が長ければ長期的にはコストを抑えられます。予算内で最適な素材を選ぶには、工務店に相談しながら初期費用とメンテナンス費用の長期的な見通しをたてることが重要です。

3-3. 気候風土と耐久性を見極める

サイディングボードの選定では、地域の気候風土に合わせて適切な素材を選ぶことが重要になります。湿気が多く、カビや藻が発生しやすい地域では、セルフクリーニング機能を備えた製品を選ぶと良いでしょう。一方、塩害の影響がある沿岸部では、金属系サイディングは避けた方が賢明です。腐食を防ぐため、窯業系や樹脂系の製品を検討するとよりでしょう。このように、地域の気候条件に合わせて最適な素材を選ぶことで、サイディングボードの耐久性を高め、長期間外壁を美しく保つことができます。

 

04 サイディングボードの塗装とリフォーム

サイディングボードは経年劣化により色あせや防水性能の低下が避けられません。定期的な塗装によるメンテナンスが欠かせません。塗装のタイミングは、シーリング部分の劣化、壁面の白い粉付着、外観のくすみなどのサインから判断します。早めの対応が外壁材の長持ちにつながります。塗装費用は建物の広さや高さにより変動しますが、一般的な戸建ての場合は60万円から120万円前後が相場です。塗料の種類や機能によっても費用は変わってきます。また、リフォームによりサイディングボードを長期間使用することも可能です。適切なメンテナンスでサイディングボードの寿命を延ばしましょう。

4-1. 塗装のタイミングとサイン

サイディングボードの塗装は、素材や気候条件によって適切なタイミングが異なりますが、おおよそ10年を目安に検討する必要があります。塗装の時期を判断する際の目安としては、シーリング部分の劣化、壁面に白い粉が付着する、外観が全体的に曇りがちになるなどの兆候が現れた場合が挙げられます。これらの症状が一つでも見られれば、専門家による点検を受けることをおすすめします。劣化が進行すると外壁材へのダメージが大きくなり、耐用年数を縮めてしまう恐れがあるためです。早期に対策を講じることで、外壁材を長持ちさせることができます。

4-2. 塗装費用の相場と影響要因

サイディングボードの塗装工事費用は、対象面積や建物の高さなどによって変動します。一般的な戸建て住宅の場合、60万円から120万円程度が相場となります。1平方メートルあたりでは5,000円から1万円が目安です。工事費には足場代、高圧洗浄代、現場養生費、シーリング材費、塗料代、廃棄物処理費などが含まれます。

使用する塗料の種類によっても費用は変わってきます。アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、無機塗料など、素材が異なれば価格も異なります。また、遮熱機能や光触媒コーティングなど、付加機能によっても塗料費用は変動します。ただし、足場代や施工費用は塗料の種類によってそれほど変わりません。無機塗料は初期費用が高めですが、耐用年数が長いためメンテナンス回数が減り、長期的にはコストを抑えられる可能性があります。

このように、塗装費用は建物の条件や使用する塗料の性能によって変わるため、事前に複数の見積もりを取ることをおすすめします。高性能な塗料を選べば耐久性が高まり、メンテナンス費用を抑えられる可能性もあります。

4-3. リフォームによる長期使用の可能性

サイディングボードは定期的なメンテナンスが必要ですが、適切なリフォームを行えば長期間の使用が可能になります。リフォームのメリットは、外壁の耐久性を高められることです。古くなった外壁材を新しいものに張り替えることで、劣化の進行を食い止められます。また、デザインの変更も可能です。トレンドに合わせて外観を一新したり、気分転換を図ることができます。

リフォーム工事の費用は、使用する外壁材の種類や施工面積、作業の難易度などによって変わってきます。一般的な戸建て住宅で全面的なリフォームを行う場合、概算で100万円前後が見込まれます。高級な外壁材を使えば費用はさらに高くなりますが、耐久性が高まるメリットもあります。長期的なコストを考えると、ある程度の投資は避けられません。リフォームを検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、費用対効果を総合的に判断することが重要です。