「部屋数から決める」の常識を覆す?!
自分たちの「ベスト間取り」をかなえるコツ

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家づくりの過程で最もワクワクし、同時に頭を悩ませるのが間取りづくり。「家は3回建てて初めて満足できる」と聞くように、自由に選べるからこそ「本当にこれでよかった?」と迷ってしまいます。間取りの決め方は、「細かく要望を伝え、住まい手主導で考える」派、「大まかな要望を伝えてプロの発想に委ねる」派など人それぞれ。どちらにしても、譲れない軸をもつことが大切です。今回は、自分たちのベスト間取りを考えるコツを紹介します。

明るい日差しが差し込むリビング

01 【コツ1】部屋数を決める前に、「暮らし方」を語ることから!

間取りを決めるときは、「子ども室は2つで、ウォークインクロゼットと書斎もほしい」のように、部屋数を先に考えがちです。しかし、ほしい空間を全部盛り込もうとすると大豪邸になってしまい、削る作業はなかなか大変。そんなときは「どんな暮らしをしたいか?」をイメージすることから始めましょう。「家族がいつもリビングに集まる家」なら、LDKを広くして子ども室は最小限にする、「庭でバーベキューを楽しめる家」なら中庭をつくるなど、おのずと理想の間取りが見えてきます。

「理想の暮らし方」は、設計担当との打ち合わせで最初に聞かれるケースがありますし、家づくりで迷ったときの拠り所になります。SNSなどで理想の暮らし方に近いイメージを探し、家族で話し合っておきましょう。

 

02 【コツ2】間取りをイメージすると、「土地探し」がスムーズに

家づくりの最初のハードルとなるのが土地探し。利便性、広さ、方角、コストまで、自分たちが求める条件を満たす土地に出会うのは至難の業です。日当たりや面積の狭さは間取りの工夫でカバーできますが、土地には法的制限などがありますので、何でも自由に建てられるわけではありません。

「土地の制限によって希望の間取りが実現できなかった…」という後悔を防ぐためには、土地探しと同時進行で建築会社を決めておくのがオススメです。理想の暮らし方や間取りを建築のプロに伝えて一緒に土地探しを行うと、総予算まで含めたアドバイスが受けられて安心。「プライバシーを守る間取りなら、北側道路の土地の方がいい」といった建築的な視点により、土地の選択肢も広がります。

 

03 【コツ3】間取り決めの前に、敷地全体と家の「ゾーニング」を

ゾーニングとは用途や機能ごとに空間を分けて、その位置関係を決めること。間取りを決める前に「敷地全体のゾーニング」と「家の中のゾーニング」を行うと、空間のつながりを考えるのに役立ちます。

敷地全体のゾーニング

家・庭・駐車場のゾーニングは、周辺の環境と密接にかかわります。道路とつながる駐車場ゾーンを先に決め、日当たりを見てLDKの場所の目安にしたり、駐車場と玄関の位置関係を検討してみましょう。建物をL字型にするなど、思わぬアイデアが生まれるかもしれません。

家の中のゾーニング

LDKや玄関などの「パブリックゾーン」、個室や書斎などの「プライベートゾーン」、洗面室・浴室・トイレの「水回りゾーン」、廊下や階段の「移動ゾーン」に分けて、大まかに配置してみましょう。朝起きてから就寝までの家族の動きをイメージし、間取りに当てはめて検討すると、ムダな動きが減り生活効率がアップします。

 

04 【コツ4】家事動線だけじゃない、「4つの動線」を意識しよう

家族の移動ルートである動線は、短いほど日々の生活がラクになります。住まいの動線計画は、「家事動線」だけではありません。トイレ動線を含めた「衛生動線」、朝の身支度時の「通勤通学動線」、ゲストが多い家であれば「来客動線」という4つの動線を意識してみましょう。

家事動線

家事ラク動線のポイントは、回遊性と収納です。アイランドキッチンや、脱衣室~ランドリー室~ウォークインクロゼットのように回遊できる洗濯動線があると、行き止まりなく家事をこなせます。回遊動線は「冷蔵庫に飲み物を取りに来た家族とぶつかる」といったバッティングも防ぐ点でも有効です。また、大型収納をひとつつくるより、動線上に適度な収納を設けておくと、わざわざモノを取りに行くロスをなくせます。

衛生動線

トイレや洗面室、浴室へ移動するための動線のこと。気をつけたいのが「トイレ動線」です。LDKと水回りが直結する廊下のない間取りは、移動がラクな半面、トイレのドアを開けるたびに中が丸見えになってしまうと落ち着きません。音もれを防ぐためにも、空間をひとつ挟んだり、間仕切りを設けたりして、LDKと切り離すといいでしょう。

通勤通学動線

個室から会社や学校へ出かけるまでの室内動線のこと。洗面台をワイドカウンターにして同時に身支度、玄関にファミリーロッカーをつくって忘れ物防止など、行動様式に合わせて計画しましょう。廊下やLDKの一角にオープンな洗面台を設置するのも、混雑の緩和に役立ちます。

来客動線

ゲストを多くお招きする家は、来客動線と家族動線を分けておくと生活感を抑えられます。玄関を2wayにする、LDKを通らずに洗面室・浴室に行ける裏動線をつくるなどの工夫で、来客と家族の動線が重ならずにすみます。

 

05 【コツ5】日々の満足度を左右する、「配線・室温」も抜かりなく

後悔ポイントとしてよく挙がるのが「コンセント不足」。配線工事のタイミングはわりと早いので、間取りが決まったら家具・家電の配置を想定して、コンセントの位置を決めておきましょう。迷ったら予備として多めに。広いLDKなら床用コンセントも活用すると、配線が目立ちません。

「住んでみたら寒かった(暑かった)」という後悔も耳にします。実は室温も、間取りと深く関わっています。吹抜けやリビング階段によってヒンヤリ、高窓からの強い日差しで蒸し暑い…なんてこともよくあるケース。住宅性能や立地・方位にもよりますが、もし住み心地への不安があれば間取り決めのときに伝えましょう。

 

06 「予算」と「可変性」も大切にして、ずっと楽しく暮らせる間取りに

いかがでしたか?間取りにアレコレ盛り込めたら本望ですが、延床面積や部屋数が増えればコストも上がるので、現実はそうもいきませんよね。予算内に納めつつ、コスパのいい間取りにするなら、「可変性」も大切です。成長に応じて間仕切りできる子ども室、1階に寝室と大型クロゼットのある“平屋風”など、20~30年先の暮らし方まで見通して楽しく考えてくださいね。