トタン屋根の全てがわかる!
種類から寿命、
メンテナンス方法までを徹底解説

INDEX目次

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01 トタン屋根の種類と特徴

木造戸建てのトタン屋根

トタン屋根は金属製の軽量な屋根材で、様々な種類が存在します。主な種類としては瓦棒葺き、縦平葺き、波板、折板の4種類があげられます。いずれの種類も軽量で施工が容易なことが大きな長所ですが、一方でサビが発生しやすく、防音性や断熱性に乏しいというデメリットもあります。各種類の特徴を理解し、用途に合わせて適切な種類を選ぶことが重要です。

1-1. 瓦棒葺きトタン屋根

瓦棒葺きトタン屋根は、トタン板を縦方向に並べて葺く伝統的な工法です。屋根の棟木から軒先に向かって、金属製の屋根材を直線状に並べていきます。一定の間隔で心木と呼ばれる木製の桟を設置し、その上に屋根材を固定していきます。この工法は軽量で施工が容易なため、広く普及しています。瓦棒葺きは勾配のある屋根に適しており、雨水の排水性にも優れています。

1-2. 縦平葺き

縦平葺きは、瓦棒葺きトタン屋根と類似した工法ですが、木製の桟を使用せずに金属板を縦方向に直接葺いて作られます。屋根材の端部が逆V字型に折り曲げられているのが大きな特徴です。従来はトタン板が使われていましたが、近年ではガルバリウム鋼板が多く採用されるようになり、耐久性が向上しています。ガルバリウム鋼板は亜鉛とアルミニウムの合金めっき鋼板で、トタン板よりも耐食性と耐候性に優れています。

1-3. 波板トタン屋根

波板トタン屋根は、トタン板を波形状に加工した屋根材を使用する工法です。波状の形状により強度が確保されているため、勾配のない平らな屋根にも適しています。様々な波形のパターンやサイズが用意されており、一般的なホームセンターなどでも入手可能な点が利点と言えます。軽量で施工が容易なことから、住宅はもちろん、工場や倉庫、カーポートなど幅広い用途で活用されています。

1-4. 折板トタン屋根

折板トタン屋根は、トタン板を工場で折り曲げて台形状に加工した屋根材を使用する方式です。この加工により、屋根材に強度が出るため、勾配のない平らな屋根にも使用できます。折板トタン屋根は軽量で施工が容易なことから、工場や倉庫、カーポート、自転車置き場、体育館などの大型建築物に幅広く採用されています。一般住宅にも使われることがありますが、デザイン性に乏しいため、近年は波板トタン屋根が主流となっています。

1-5. トタン屋根の長所と短所

トタン屋根は軽量で施工が簡単なため、コストを抑えられるメリットがあります。また、継ぎ目が少ないので雨漏りのリスクが低く、低勾配の屋根にも適しています。一方で、サビが発生しやすく、防音性や断熱性に劣るデメリットもあります。適切なメンテナンスが欠かせず、塗り替え時期を逃さないよう注意が必要です。紫外線による劣化にも配慮し、遮熱性や耐候性に優れた塗料の選択が重要になります。

 

02 トタン屋根を長持ちさせるメリット・デメリット

黒いトタン屋根

トタン屋根は軽量で耐震性に優れ、積雪にも強いメリットがあります。日本瓦の100分の1、スレート屋根の4分の1の重量しかなく、屋根が重たくなりすぎて建物が倒壊する心配がありません。また、他の屋根材に比べて施工費用が安価で、工期も短いのが特徴です。一方で、鉄板のためサビが発生しやすく、定期的な塗り替えが必要不可欠です。さらに、防音性と断熱性が低いデメリットもあり、雨音が気になったり、夏は室温が上がりやすく冬は暖かい空気が逃げやすくなります。しかし、適切なメンテナンスを行えば、トタン屋根を長持ちさせることができます。

2-1. トタン屋根のメリット

トタン屋根は他の屋根材と比較して非常に軽量なのが最大の特徴です。重量が軽いため、積雪時の建物への負荷が抑えられ、倒壊のリスクが低くなります。また、地震が発生した際の揺れも小さくなるため、耐震性に優れています。

費用面でも大きなメリットがあり、ガルバリウム鋼板や瓦などに比べて施工費用を抑えられます。トタン屋根は工事が簡単で短時間で完了するため、工賃を安く抑えられるのです。継ぎ目が少ないトタン屋根は低勾配の屋根でも雨水の浸入が少なく、雨漏りが起きにくいのも長所の一つです。

2-2. トタン屋根のデメリット

トタン屋根の主なデメリットは以下の通りです。

– 金属製のため経年劣化によりサビが発生しやすい。サビは塗膜の剥がれや劣化が原因で、放置すると雨漏りの恐れがある。
– 塗膜が紫外線の影響で劣化し、色あせや粉っぽくなるため見た目が悪くなる。
– 金属の性質上、防音性が低く雨音や車の通行音が気になる。遮音性のある塗料を使えば軽減できる。
– 断熱性が低いため、夏は室温が上がりやすく冷房が効きにくい。冬は暖房の効果が低下する。
– 薄く軽量なため、強風や台風で剥がれたり飛散するリスクがある。特に古いトタン屋根は注意が必要。

定期的なメンテナンスが欠かせず、塗り替えのタイミングを逃さないことが重要である。

 

03 トタン屋根の一般的な寿命・耐用年数

トタン屋根の平均的な寿命は25年から30年程度と言われています。しかし、適切なメンテナンスを行えば40年以上の長期間使用できる可能性もあります。一方で、メンテナンスが不十分な場合は15年程度で交換が必要になる場合もあり、寿命にはかなりのばらつきがあります。寿命を左右する大きな要因は、使用される部材の質と定期的なメンテナンスの有無です。トタン屋根は木材も一部使われているため、腐朽が進行すると根本から修理が必要になります。定期的な塗り替えなどのメンテナンスを欠かさず、部分的な補修を適切に行うことで、トタン屋根を長持ちさせることができます。

 

04 トタン屋根を長持ちさせるメンテナンス方法

トタン屋根は経年劣化により塗膜の剥がれやサビの発生が起こりやすいため、定期的なメンテナンスが不可欠です。適切なタイミングで下地処理と塗り替えを行うことで、トタン屋根の寿命を大幅に延ばすことができます。メンテナンス方法としては、まず高圧洗浄機で汚れを落とし、ケレンと呼ばれる作業でサビや古い塗膜を除去します。その後、下塗り材を塗布してサビ止め効果を高め、中塗り・上塗りを行います。塗料の種類や工程を適切に選ぶことで、トタン屋根の美観を維持しながら長期間の使用が可能になります。

4-1. 定期的な清掃

トタン屋根の寿命を延ばすには、こまめな清掃が欠かせません。屋根の上に落ち葉やゴミが溜まると、湿気や酸性雨の影響でサビが発生しやすくなります。また、ホコリが付着したままだと塗装の劣化が早まる原因にもなります。定期的に屋根の上を掃除機や柄つきブラシで清掃し、汚れを取り除くことが大切です。特に雨どいの周りは、ゴミが溜まりやすいので重点的に掃除しましょう。清掃の際は、足場の安全性に十分注意する必要があります。高所作業が難しい場合は、専門業者に依頼するのがベストな選択肢です。

4-2. 高圧洗浄と汚れ落とし

トタン屋根の塗装前には、高圧洗浄機を使って古い塗膜の剥がれや付着したホコリ、カビなどの汚れを徹底的に洗い流す必要があります。汚れが残っていると新しい塗料が密着しにくくなり、早期に剥がれてしまう原因となります。高圧洗浄では、ケレンで除去しきれなかった微細な汚れも落とすことができます。洗浄後は水分を完全に乾燥させ、下地処理に移ります。汚れの付着が著しい場合は、洗浄と乾燥を繰り返して徹底的に汚れを除去することが重要です。

4-3. 下地処理の重要性

下地処理は、トタン屋根の塗装工事において最も重要な工程の一つです。古い塗膜やサビを完全に除去し、新しい塗料が密着しやすい状態にする必要があります。

まず、ケレンと呼ばれる作業でワイヤーブラシやサンドペーパーを使い、トタン板の表面のサビや古い塗膜を丁寧に除去します。この工程を怠ると、新しい塗料が密着せず、早期に剥がれてしまう可能性があります。

次に、高圧洗浄機で表面の汚れやケレン時に発生したゴミを洗い流します。洗浄後は、サビ止め効果のある下塗り材を塗布することで、サビの発生を防ぎます。

適切な下地処理を行えば、塗装の密着性が高まり、耐久性も大幅に向上します。逆に下地処理を手抜きすると、費用と手間を無駄にしてしまうリスクがあります。トタン屋根のメンテナンスでは、この下地処理の重要性を理解し、丁寧な作業を心がける必要があります。

4-4. 適切な塗装と塗り替え

トタン屋根は経年劣化により塗膜が剥がれたり、サビが発生しやすいため、定期的な塗り替えが重要です。塗装を適切に行うことで、トタン屋根の寿命を延ばすことができます。

塗装工程は下塗り、中塗り、上塗りの3工程に分かれています。まず下地処理としてケレンを行い、古い塗膜やサビを除去します。次に防錆効果のある下塗り材を塗布し、その上から中塗り、上塗りと順次塗り重ねていきます。

使用する塗料は用途に合わせて選ぶ必要があります。一般的な塗料には、アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料などがあります。アクリル樹脂塗料は低価格で塗り替え頻度が高めですが、フッ素樹脂塗料やシリコン樹脂塗料は高価格ながら耐候性に優れ、長期間の塗り替え不要が期待できます。また、遮熱性や防音性に優れた塗料もあり、トタン屋根の短所を補うこともできます。

適切な塗装を行うことで、トタン屋根の美観を保ち、サビや雨漏りのトラブルを未然に防ぐことができます。塗装業者の選定も重要なポイントとなるため、実績のある優良業者に依頼することをおすすめします。

 

05 トタン屋根のメンテナンス業者選びのポイント

トタン屋根は外見から劣化が分かりやすいため、訪問販売業者に狙われがちです。メンテナンスを依頼する際は、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。職人の手抜き工事で下地処理が不十分だと、塗装後に早期に剥がれが生じる可能性があります。また、見積もり時と実際の請求金額が異なる場合もあり、追加工事の有無や内容を事前に確認しましょう。さらに、不安を煽って高額な契約を迫る悪質業者にも注意が必要です。複数の業者を比較検討し、信頼できる業者を選ぶことが賢明です。

5-1. 不備工事に注意

トタン屋根のメンテナンスを依頼する際は、不備工事に十分注意を払う必要があります。適切な下地処理を怠ると、塗装後に早期に塗膜が剥がれ落ちてしまう恐れがあるからです。サビや古い塗膜を完全に除去せずに新しい塗料を塗布すると、密着性が低下し剥離が生じやすくなります。

また、相場よりも極端に安価な見積もりや過剰な値引きを提示する業者には警戒が必要です。必要な工程を省略して手抜き工事を行う可能性があり、結果的に早期の再塗装が必要になれば余計なコストがかかってしまいます。信頼できる実績のある業者を選び、工事内容や見積もりの内訳をよく確認することが重要です。

5-2. 見積もり金額と請求金額の相違

信頼できる業者を選ぶためには、見積もり金額と実際の請求金額が異なる点に注意を払う必要があります。一部の業者は後から追加工事が発生したと主張し、想定外の追加料金を請求することがあります。しかし、優良な業者であれば事前に十分な点検と調査を行うため、追加工事が必要になるケースは極めて少ないはずです。足場がない場所や解体しないと分からない箇所で修理が必要になる可能性はありますが、その際にも事前に説明があり、追加費用の見積もりを提示してくれるでしょう。「工事してみないと分からない」と曖昧な返事しか得られない業者には注意が必要です。複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することで、適正な費用を把握できます。

5-3. 悪質業者の手口に気をつける

一部の悪質な業者は、不安をあおって高額な契約を結ばせようとする手口に出ることがあります。例えば「今すぐ工事をしないと梁や柱までダメになる」と危機感を煽ったり、契約を急かしてくるなどの行為が見受けられます。トタン屋根に限らず、外壁や屋根工事全般でこうした手口は後を絶ちません。劣化状況を過剰に伝えられたり、不当な契約を強要されたりする可能性があるため、複数の業者から見積もりを取り、現状を的確に把握することが重要です。優良業者であれば、丁寧な説明と適正な見積もり提示を心がけるはずです。不審な点があれば遠慮なく質問し、不安を解消しましょう。

 

06 まとめ

トタン屋根は軽量で施工が簡単なため、コストを抑えられるメリットがあります。一方で、サビやすく防音性や断熱性に課題があるデメリットも存在します。しかし、適切なメンテナンスを行えば、トタン屋根の寿命を大幅に延ばすことができます。定期的な清掃と高圧洗浄による汚れ落とし、下地処理の徹底、そして塗装の塗り替えが重要なポイントとなります。メンテナンス業者選びでは、不備工事や見積もり金額と請求金額の違いに注意を払い、悪質業者の手口にも気をつける必要があります。信頼できる業者に依頼することで、トタン屋根を長期間にわたり健全な状態で維持できるでしょう。