外壁のコーキングとシーリング、
その違いと重要性を理解しよう

INDEX目次

SHARE X facebook

01 コーキングの役割

シリコーン接着剤で接着剤ガンを持つ作業員の手

外壁のコーキングは、建築物の健全性と耐久性を維持するために不可欠な役割を担っています。コーキング材は、外壁の目地や隙間を埋めることで、水分の浸入を防ぎます。これにより、建物内部への雨水の浸入を最小限に抑え、木材の腐食やコンクリートの劣化、カビの発生などのリスクを軽減することができます。適切なコーキングを行うことで、建物の寿命を延ばし、メンテナンスコストの削減にもつながります。

 

02 コーキングとシーリングの違い

コーキングガンを使用したコーキング

コーキングとシーリングは、建物の隙間を埋める目的で使用される充填材ですが、その性質と用途が異なります。コーキングは柔らかい素材を使い、主に外壁の目地や窓周りの隙間に使われます。一方、シーリングは硬質の充填材を使用し、内装の壁と壁の継ぎ目や家具の隙間などに適しています。コーキングは外的要因から建物を保護する役割を担い、シーリングは内装の美観を損なわないよう目地を覆う役割があります。このように、用途に合わせて適切な材料を使い分ける必要があります。

 

03 コーキングの種類

外壁のコーキングには、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、変性シリコン系など、様々な種類があります。それぞれ価格、施工性、耐久性、耐候性などの特徴が異なるため、建物の用途や環境条件に合わせて適切な材料を選ぶ必要があります。例えば、アクリル系は低価格で施工しやすいものの、耐候性に劣るため屋内用途が中心となります。一方、シリコン系やウレタン系は優れた耐久性と耐候性を持ち、外壁用コーキングとして広く使用されています。変性シリコン系は、シリコン系の長所を持ちつつ価格が比較的リーズナブルなため、近年人気が高まっています。このように、コーキングの種類によって適した用途が異なるため、専門家に相談しながら最適な材料を選ぶことが大切です。

3-1. アクリル系

アクリル系コーキングは経済的で扱いやすい材料ですが、外的要因に弱く、長期間の使用には向きません。水性のアクリル樹脂を主成分とするため、乾燥が早く作業性に優れていますが、紫外線や熱に弱く、ひび割れや変色が生じやすいのが欠点です。そのため、主に内装の目地や小規模な補修に使われ、外壁用途では不向きとされています。価格が安価なことから、一時的な補修や屋内の目地処理に適した材料と言えるでしょう。

3-2. ウレタン系

ウレタン系コーキングは、高い弾力性と耐久性を併せ持つことが大きな特長です。硬化後はゴム状の質感となり、外壁のひび割れや目地の動きにも追従できるため、雨水の浸入を長期間防ぐことができます。一方で紫外線に弱い点が欠点ですが、上塗り塗装を施せば耐候性を高めることが可能です。施工時の注意点としては、完全硬化までに3〜7日を要すること、乾燥中は紫外線を避ける必要があることが挙げられます。全体として、ウレタン系は外壁用コーキングとして適した素材と言えるでしょう。

3-3. シリコン系

シリコン系コーキングは、紫外線や熱、寒さなどの環境変化に強い優れた耐候性を持っています。また、経年劣化に対する耐久性も高く、長期間にわたり性能を発揮し続けることができます。このような特性から、外壁用コーキングとして幅広く採用されている材料です。一方で、シリコン系コーキングは他の種類に比べて製造コストが高いため、価格が比較的高めに設定されているのが欠点と言えます。初期費用がかさむことから、予算に余裕がない場合は変性シリコン系などの代替材料を検討する必要があります。

3-4. 変性シリコン系

変性シリコン系コーキングは、シリコン系コーキングの優れた耐候性と耐久性を備えながら、価格がシリコン系よりも手頃であることが大きな利点です。硬化時間が比較的短く、作業性にも優れているため、外壁用コーキングとして広く使用されています。ただし、シリコン系やウレタン系に比べると、接着力や弾性に若干劣る面もあります。全体的にバランスの取れた性能を持つコーキング材と言えるでしょう。

 

04 外壁コーキングの寿命と費用相場

外壁コーキングの寿命は一概に言えませんが、使用する材料の種類や施工環境によって大きく異なります。一般的には5年から10年程度が目安とされており、この期間を過ぎれば劣化が進行し、補修が必要になってくるでしょう。定期的な点検を行い、ひび割れや剥がれ、変色などの兆候を見逃さないことが重要です。

外壁コーキングの補修にかかる費用は、建物の規模や補修が必要な箇所の広さによって変動します。一般的な戸建て住宅であれば、10万円から30万円程度が相場と言われています。ただし、これは目安の金額にすぎず、実際の見積もり額とは異なる可能性があります。

そのため、外壁コーキングの補修を業者に依頼する際は、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。価格だけでなく、業者の実績や信頼性、対応の良さなども総合的に判断する必要があります。安価な見積もりに惹かれるあまり、手抜き工事や追加料金請求のリスクを負ってしまっては本末転倒です。まずは複数の業者と相見積もりを行い、適切な業者を選びましょう。

4-1. 外壁コーキングの寿命

外壁に使用されるコーキング材の寿命は、一般的に5年から10年程度と言われています。ただし、この期間は目安にすぎず、実際の寿命は使用する材料の種類や施工時の環境条件によって変わってきます。例えば、耐候性に優れたシリコン系コーキングを使用し、適切な施工が行われた場合は10年以上持つ可能性もあります。一方で、屋外での紫外線の影響が大きい場所に劣化しやすい材料を使うと、5年を待たずに補修が必要になるでしょう。

このように、コーキングの寿命を一概に言うことはできませんが、定期的な点検を行い、ひび割れや剥がれ、変色などの劣化の兆候を見逃さないことが重要です。初期の段階で適切な補修を行えば、建物の保護と美観の維持につながります。

4-2. 外壁コーキングの費用相場

外壁コーキングの補修費用は、建物の大きさや補修が必要な範囲によって変動します。一般的な戸建て住宅であれば、10万円前後から30万円程度が平均的な相場と言えるでしょう。広範囲にわたる補修が必要な場合は、さらに高額になる可能性があります。費用を抑えるためには、定期的な点検と早期の補修が重要です。放置すれば劣化が進行し、結果的にコストがかさむことになるためです。

4-3. 業者に依頼するならまずは相見積もり

外壁コーキングの補修は、専門的な知識と技術が必要となる作業です。自分で行うと失敗のリスクが高く、建物に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、経験豊富な専門業者に依頼することが賢明な選択肢といえます。

ただし、業者選びを誤ると、高額な費用を請求されたり、手抜き工事で十分な補修ができないなどのトラブルに巻き込まれる恐れがあります。そこで、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。見積もり内容を比較することで、適正な価格設定かどうかを判断できるだけでなく、業者の対応や信頼性も確認できます。

実際に見積もりを依頼する際は、建物の規模や補修箇所の広さなど、できるだけ詳細な情報を提示しましょう。そうすれば、より正確な見積もりが得られます。また、単に価格が安いからといって業者を選ぶのではなく、実績や口コミ、アフターフォローの体制なども総合的に判断する必要があります。丁寧な作業と高い技術力を持つ信頼できる業者に依頼することが、外壁コーキングの長期的な保護につながります。

 

05 外壁コーキングの劣化の症状とは?

外壁コーキングは時間の経過とともに徐々に劣化が進行します。早期発見と適切な対処が肝心です。まずは定期的な点検を欠かさず、ひび割れや剥がれ、変色などの兆候に注意を払いましょう。些細な変化でも見逃さずに確認することが大切です。一度ひび割れや剥がれが生じ、雨水の浸入が確認された場合は速やかな補修が不可欠です。放置すれば建物の劣化がさらに進行し、大がかりな修繕が必要となる可能性があります。コーキングの劣化は目に見えにくい部分から始まるため、専門家による定期点検を受けることをおすすめします。

5-1. 経過観察

コーキングの劣化は時間の経過とともに徐々に進行していきます。そのため、定期的に外壁の点検を行い、コーキング部分のひび割れや剥がれ、変色などの異常の兆候を見逃さないよう注意を払う必要があります。初期の段階で劣化に気づけば、適切な補修を行うことで建物の保護と美観の維持が可能になります。

5-2. 補修が必要な段階

外壁のコーキングにひび割れや剥離が見られ、雨水の浸入が確認された場合は、早急に補修作業を行う必要があります。コーキング部分から雨水が建物内部に浸入すると、結露やカビの発生、さらには構造体の腐食など、建物の劣化が急速に進行する恐れがあるためです。ひび割れや剥がれの兆候が見られた時点で、専門業者に相談し、適切な補修計画を立てることが賢明でしょう。

 

06 コーキングは自分でできる?

コーキングは、適切な手順と注意事項を守れば、一般の方でも自分で行うことは可能です。しかし、コーキング作業には高度な技術と経験が求められ、作業を誤ると建物に深刻な影響を与えかねません。そのため、自分で行うよりも、信頼できる専門業者に依頼することが賢明な選択となります。自分で行う場合は、十分な準備と細心の注意を払う必要があります。

6-1. 既存コーキングの撤去

コーキング補修の第一歩は、古くなった既存のコーキングを完全に取り除くことです。この作業は慎重に行わなければなりません。専用のコーキング撤去ツールを使い、周辺の壁面を傷つけないよう細心の注意を払いながら、ゆっくりと剥がしていきます。一部でも残っていると、新しいコーキングとの密着が悪くなり、雨水の浸入経路になる恐れがあります。また、コーキングの撤去作業は非常に手間がかかり、時間も要するため、作業に慣れていない方が行うと、うまくいかない可能性が高くなります。

6-2. 養生

コーキング作業の際には、周辺の壁面や床などを保護するため、養生テープやマスキングテープを使って丁寧に養生を行います。養生が不十分だと、コーキング材がこぼれて汚れてしまう可能性があります。また、仕上がりの美観も損なわれてしまいます。特に外壁の場合、高所作業になるため、落下物による汚れにも注意が必要です。しっかりと養生を行うことで、作業中のトラブルを防ぎ、きれいな仕上がりを実現できます。

6-3. プライマーの塗布

コーキング材を外壁に確実に密着させるためには、プライマーの塗布が重要な工程となります。プライマーは、コーキング材と外壁面の接着力を高める特殊な下地剤です。メーカーの指示に従って適切に塗布することで、コーキング材が外れたり剥がれたりするリスクを大幅に低減できます。塗布の際は、隙間のない均一な塗りムラがないよう丁寧に行う必要があります。また、乾燥時間を守り、完全に乾燥させてからコーキング材を充填するのがポイントです。プライマーの塗布作業は手間がかかりますが、コーキングの耐久性を左右する重要な工程なのです。

6-4. コーキングの充填

適切なコーキング材を選定し、外壁の隙間に入れ込む作業が充填です。この工程が最も重要で、隙間に空洞ができないよう、しっかりと詰め込む必要があります。作業は丁寧に行い、隙間なく均一に充填することが肝心です。コーキング材の種類を間違えたり、充填が不十分だと、雨水の浸入や建物の劣化を招く恐れがあります。

6-5. 仕上げと養生の撤去

コーキング作業の最後は、適切な仕上げを行い、養生を外すことが重要です。まずコーキング材の表面を整え、きれいな仕上がりにします。その後、周囲に貼った養生テープなどを丁寧に剥がします。この際、まだ十分に硬化していないコーキング材を動かさないよう注意が必要です。乾燥時間を守り、しっかりと硬化させることで、美しく丈夫なコーキング仕上がりとなります。

 

07 まとめ

外壁のコーキングは、雨水の浸入を防ぎ、建物の劣化を抑える重要な役割があります。コーキング材の種類によって特性が異なるため、用途に合わせて適切な材料を選ぶ必要があります。また、コーキングには一定の寿命があり、定期的な点検と補修が欠かせません。自分で補修作業を行う場合は、作業手順や注意点を熟知しておく必要がありますが、専門的な技術を要するため、専門業者に依頼するのが賢明です。コーキングの適切な維持管理は、建物の長寿命化と美観の保持に不可欠なのです。