金属サイディングの特徴と選び方

INDEX目次

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01 金属サイディングの概要

灰色と黄色で分割された金属サイディング

金属サイディングは、アルミニウム・亜鉛・シリコンを組み合わせたガルバリウム鋼板などの金属板を外壁材として使用する工法です。金属板は軽量かつ高い断熱性と耐久性を備えており、適切なメンテナンスを行えば長期間にわたり優れた性能を発揮します。金属サイディングは防水性と凍害に対する強さも持ち合わせており、様々な気候条件下でも安心して使用できる外壁材料となっています。

1-1. 金属サイディングとは

金属サイディングは、鋼板や亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合金板などの金属板を外壁材として使用する建材のことです。金属板の表面には耐候性や意匠性を高めるための塗装が施されています。金属サイディングは軽量で加工性に優れ、優れた断熱性と耐久性を併せ持つことが特徴です。適切なメンテナンスを行えば、長期間にわたり外壁材として使用することができます。

1-2. 一般的な素材(ガルバリウム鋼板)

ガルバリウム鋼板は、1972年にベスレヘムスチール社が開発した革新的な素材です。アルミニウム、亜鉛、シリコンを組み合わせてメッキした鋼板で、軽量かつ高い強度を備えています。デザイン性に富み、耐熱性と耐久性にも優れているため、多くの建材メーカーから外壁材や屋根材として採用されています。金属製でありながら錆びにくいのが大きな特長で、板金工事の現場で広く使用されるようになりました。費用は1平方メートル当たり約2,500円から5,000円程度ですが、バラ売りされていないケースが多いのが実情です。

 

02 金属サイディングのメリット

メリットと書かれた木製ブロック

金属サイディングは、従来の外壁材に比べて様々な利点を備えています。まず、芯材に断熱材を使用しているため、窯業系サイディングの5~6倍、モルタル外壁の50倍もの高い断熱性能を発揮します。外気の影響を受けにくいので、快適な室内環境を年間を通して維持できます。また、軽量なのが大きな特徴で、窯業系の1/4、モルタルの1/10の重さしかありません。施工性に優れ、工期の短縮やコストダウンにもつながります。さらに、軽量ゆえに建物への負担が少なく、耐震性能にも優れています。加えて、二重構造にすれば防音性が高まり、金属板なので防水性が高く、凍害にも強いのが魅力です。

2-1. 優れた断熱性能

金属サイディングは、内部に断熱材が入っているため、他の外壁材と比較して格段に優れた断熱性能を発揮します。窯業系サイディングの5~6倍、モルタル外壁の実に50倍もの高い断熱性を持っているのが特徴です。熱伝導率が低いほど断熱性が高くなりますが、金属サイディングはその点でも抜群の性能を誇ります。このため、外気温の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境を年間を通して維持することができるのです。

2-2. 軽量で施工性が良い

金属サイディングは窯業系サイディングの約1/4、モルタル外壁の約1/10程度の軽量設計となっています。この軽量性により、施工時の人手や重機の負担が軽減され、スムーズな作業が可能になります。また、重量物の運搬が少なくて済むため、工期の短縮にもつながります。さらに、金属サイディングは工場で量産されているため、現場での加工作業が最小限で済み、施工性に優れているのが特徴です。このように、軽量で施工性の良さから、コストパフォーマンスが高い外壁材として注目されています。

2-3. 高い耐震性能

金属サイディングは従来の外壁材に比べて非常に軽量です。そのため、建物の基礎や柱、壁などの重要な構造部材に過度の負荷をかけることなく、地震による揺れに対して柔軟に追従することができます。万が一大規模な地震が発生した場合でも、金属サイディングの軽量性により建物全体の耐震性能が高まり、倒壊のリスクを大幅に低減することができます。さらに、金属サイディングを適切な施工方法で取り付けることで、ジョイント部分の可とう性が確保され、揺れに対する追従性がより高まります。このように、金属サイディングは軽量かつ適切な施工により、優れた耐震性能を発揮することが可能です。

2-4. 遮音性に優れる

金属サイディングは、その構造と素材の特性から優れた遮音性を発揮します。金属サイディングを新築や増改築の際に外壁に取り入れると、室内への騒音の侵入を抑制できます。特に古い外壁の上に金属サイディングを重ねる「カバー工法」を採用すれば、二重の壁構造となり、遮音効果がより高まります。また、金属自体が持つ質量による防音効果もあり、道路沿いの住宅などでは外部からの騒音を低減する役割を果たします。

2-5. 防水性が高く、凍害に強い

金属サイディングは表面が金属板で覆われているため、窯業系サイディングなどと比べて水分の浸入を防ぐ防水性に優れています。金属は水分を吸収しにくい素材なので、冬場の気温が下がり凍結する環境下でも、サイディング内部に水分が浸入して凍結による劣化(凍害)が起きるリスクが低くなります。このように、金属サイディングは優れた防水性と凍害に強い特性を兼ね備えた外壁材なのです。

 

03 金属サイディングのデメリット

デメリットと書かれた木製ブロック

金属サイディングは多くの利点を持つ外壁材料ですが、いくつかの欠点も存在します。まず第一に、金属は時間の経過とともに腐食や錆びが発生しやすい性質があります。表面に施された塗装が剥がれたり、傷がついたりすると、金属部分が露出し、雨水の影響で錆びが広がっていく可能性があります。また、金属は硬い素材のため、強風による飛来物や誤った取り扱いで傷がつきやすいデメリットがあります。さらに、工場で量産されているため、デザインの自由度が低く、個性的な外観を求める場合は不向きです。

3-1. 腐食や錆びが発生しやすい

金属サイディングは金属製なので、長期間使用すると腐食や錆びが生じやすくなります。特に雨が多い地域や海沿いの地域では、塩分の影響で早期に錆びが進行する可能性があります。また、傷が付いた箇所から錆が発生し、周辺に広がっていくこともあります。錆びは外観を損なうだけでなく、サイディングの強度低下にもつながるため、早期の対策が不可欠です。定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、腐食や錆びの発生を最小限に抑えることができます。

3-2. 傷がつきやすい

金属サイディングは頑丈な素材ながら、外的要因で比較的傷がつきやすい性質があります。強風による飛来物の衝突や、不注意な取り扱いなどで表面に傷がついてしまうことがあります。一度傷がついてしまうと、そこから錆が発生しやすくなるため、早期の補修が必要不可欠です。また、硬いブラシなどで過剰に擦ったりすると、塗膜を傷つける恐れもあるので、メンテナンス時の注意が欠かせません。定期的な点検と適切な補修で、金属サイディングの美観と機能を長期間維持することができます。

3-3. デザイン性に乏しい

従来の金属サイディングは工場で量産されていたため、デザインの選択肢が限られていました。しかし、近年では色やデザインのバリエーションが増え、建物の外観を損なうことなく機能性と美観を両立できるようになってきています。例えば、木目調の質感を再現したデザインや、マットな質感のデザインなど、様々な表情を演出できる商品が登場しています。金属サイディングを選ぶ際は、デザインの自由度が高まっていることを認識し、建物の雰囲気に合わせて最適な製品を選ぶことが重要です。

 

04 適切なメンテナンス

金属サイディングは長期間にわたり優れた性能を発揮しますが、経年劣化による劣化は避けられません。そのため、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。錆びの発生、色あせ、塗膜の剥がれなどの症状に早期に気づき、専門業者による対処を行うことが重要になります。メンテナンスを怠ると、外観の劣化だけでなく、建物本体への悪影響が及ぶ恐れがあります。金属サイディングの長寿命化と美しい外観の維持のためにも、メーカー指定の点検サイクルを守り、異常が見つかれば迅速な対応を心がけましょう。

4-1. 錆び対策

金属サイディングは耐久性に優れた素材ですが、適切なメンテナンスを怠ると錆びが発生する可能性があります。錆びは主に以下の原因で生じます。

・塗装の劣化や剥がれにより、金属部分が露出する
・傷や擦り傷から金属部分が露出する
・雨水の浸入により金属部分が湿気にさらされる

一度錆びが発生すると、そこから周囲に広がっていくため、早期発見と対処が重要です。錆びた箇所は専門業者による錆び止め塗装などで補修します。また、定期的な塗り替えで塗膜を新しくすることで、錆びの発生を防ぐことができます。

施工時の対策としては、金属サイディングの継ぎ目や隙間から雨水が浸入しないよう、しっかりとした防水処理を行うことが大切です。また、塗装仕上げの品質にもこだわり、耐候性と密着性に優れた塗料を使用することで、長期にわたり錆びを防止できます。

4-2. 色あせ防止

金属サイディングは紫外線の影響で徐々に色あせが進行します。この現象は「チョーキング」と呼ばれ、塗料に含まれる顔料が粉状になって表面に現れるのが特徴です。チョーキングが進むと手で触れただけで粉が付着するようになります。色あせの進行を遅らせるには、定期的な洗浄と再塗装が有効な対策となります。洗浄は中性洗剤を使い、こすり過ぎに注意しながら汚れを落とします。再塗装のタイミングは一般的に10年から15年ごとですが、立地環境によっても前後します。業者に定期点検を依頼し、適切なメンテナンスサイクルを立てることをおすすめします。

4-3. 剥がれ防止

金属サイディングの塗装は、一般的に10年から15年程度の耐用年数があります。しかし、設置環境や気候条件によっては、より早期に塗膜の劣化や剥がれが生じる可能性があります。剥がれが進行すると、下地の金属部分が露出し、錆の発生につながります。そのため、定期的な点検を行い、塗膜の状態を確認することが重要です。

剥がれの兆候が見られた場合は、速やかに専門業者に相談し、適切な補修や再塗装を行うことをおすすめします。再塗装の際は、古い塗膜を完全に除去し、下地処理を十分に行ってから新しい塗料を塗布する必要があります。適切な工程を経ずに塗装を行うと、密着不良や早期の剥離を招く恐れがあります。

また、金属サイディングの取り付け部分にも注意が必要です。ビスやクリップの周辺から剥がれが生じやすいため、定期的な点検と補修が欠かせません。剥がれの進行を未然に防ぐことで、金属サイディングの美観と機能を長期間維持することができます。

 

05 業者選びのポイント

金属サイディングの外壁リフォームは、専門的な知識と技術が必要不可欠です。適切な業者を選ぶことが、長期的な耐久性と美しさを保つ上で極めて重要になります。業者選びのポイントとして、以下の2点に注目することをおすすめします。

1. 豊富な実績と高い信頼性
金属サイディングの施工実績が豊富で、確かな技術力を持つ業者を選びましょう。実績が豊富であれば、さまざまな事例に対応できる専門知識を有しており、適切な提案と施工が期待できます。また、業界での高い評価と信頼性も重要なポイントです。

2. 万全のアフターフォローとサポート体制
施工後も、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。業者には、長期にわたるアフターフォローとサポート体制が整っていることが求められます。万が一のトラブルにも迅速に対応でき、安心して任せられる体制が整っている業者を選びましょう。

5-1. 実績と信頼性

金属サイディングの施工は、一般的な塗装工事とは異なる専門的な知識と技術が必要となります。そのため、金属サイディングの施工実績が豊富で、信頼できる業者を選ぶことが重要です。実績が豊富な業者は、金属サイディングの特性を熟知しており、適切な工法の提案や施工が可能です。また、万が一トラブルが発生した場合でも、迅速な対応ができるでしょう。施工実績が乏しい業者に依頼すると、不適切な工法の選択や施工ミスなどのリスクが高くなります。

5-2. アフターフォローの体制

金属サイディングは耐久性に優れた外壁材ですが、経年劣化による錆び、色あせ、剥がれなどのトラブルが起こる可能性があります。そのため、施工後も定期的な点検を行い、適切なメンテナンスを提案できる体制が業者には求められます。実績のある優良業者であれば、お客様との長期的な関係を大切にし、アフターサービスにも力を入れています。例えば、一定期間ごとに無料で点検に伺い、補修が必要な箇所があれば修繕を提案したり、塗装の劣化が進んでいれば再塗装をお勧めするなど、きめ細かいサポートを心がけています。トラブル発生時の迅速な対応力にも定評があり、お客様の安心につながるでしょう。

 

06 まとめ

金属サイディングは、優れた断熱性と耐震性、防音・防水性能を備えた外壁材料です。軽量で施工性も良く、コストパフォーマンスに優れています。一方で、金属素材ゆえに腐食や錆び、傷がつきやすいというデメリットもあります。デザイン性の面でも制約があり、自由度は低めです。しかし、適切なメンテナンスを行えば長期間にわたり性能を発揮し続けることができます。錆び対策、色あせ防止、剥がれ防止など、定期的な点検と手入れが重要になります。金属サイディングの施工やメンテナンスを依頼する際は、実績と信頼性のある専門業者を選び、アフターフォローの体制も確認しましょう。